見もの・読みもの日記

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香合を集める/茶席を彩る中国のやきもの(中之島香雪美術館)他

2019-06-16 23:24:53 | 行ったもの(美術館・見仏)

中之島香雪美術館 企画展『茶席を彩る中国のやきもの』(2019年5月25日~8月4日)

 先週の関西週末旅行、東洋陶磁美術館のあとはここに寄った。館蔵コレクションから中国のやきものを展示。多くは、村山龍平が収集し茶会で使った茶器や懐石道具で、古いものには南宋時代の油滴天目や禾目天目、梅花天目などもある。

 目を引いたのは、一角に集められた香合のコレクション。参考資料として安政2年出版の「形物香合相撲番付」を引き伸ばした写真が飾られていた。香合番付としては最も古いもので、日本国内の好事家が所有する名品が、たぶん200種以上、番付方式でランキングされている。※画像→「茶道入門」形物香合相撲番付表

 そして本展には、このうち10件が出品されている。村山龍平、かなり頑張って集めたんだなあと思う。特に目立つのは東の大関(横綱はいない)に位置する『交趾大亀香合』。確かに大きい。よく見ると、この番付、東方は大関から前頭11枚目まで全て「交趾」(実際は漳州窯)で占められており、人気のほどが偲ばれる。西方は、染付・呉州・青磁など多様なやきものを合わせている。交趾焼、そんなにいいかなあ。私は『呉州染付台牛香合』や『古染付荘子香合』(胡蝶の絵)のほうが好き。

 もうひとつ『交趾蓮唐草文香炉』(明末~清)という、変わった作品が出ていた。脚の長い三脚の香炉で、色味がユニークである。解説は、広東の石湾窯か?と推測しながら、検討を待つというスタンスだった。

 あとはやっぱり古染付がよい。どこでもないユートピアを思わせる山水図や楼閣図、『葡萄棚文水指』や『飛馬文水指』が好き。呉州赤絵もゆるふわな趣きに癒された。

湯木美術館 平成31年春季展『「きれい」寛永×「いき」元禄-くらべて見える江戸茶の湯文化-』(2019年4月9日~6月24日)

 まだ時間があったので、もう1箇所寄っていくことにした。ここは2010年に初訪問して以来、二度目の訪問になる。本展は、寛永・元禄の茶の湯文化に注目。寛永年間(1624-44)は、千宗旦、小堀遠州、金森宗和、仁清らが活躍し、瀟洒で洗練された美意識「きれい」を生み出した。元禄年間(1688-1704)は、幕府の政治が安定して経済活動が活発化し、松尾芭蕉、上島鬼貫らによる俳諧がさかんになり、乾山焼が人気を博した。茶の湯は武家町人にも広がり、「いき」の文化が生まれた。という整理なのだが、え?乾山は「いき」なの?「きれい」じゃないの?とか、時々まごついた。

 また、『浪華名所図屏風』(左隻、大阪市指定文化財)を見ることができたのは面白かった。大阪の町の基本的な形が出来上がった元禄期に製作されたものと考えられているそうだ。近松門左衛門筆『鷺図』は、絵も賛も冴えないところが魅力的だった。

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