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見もの・読みもの日記

興味をひかれた図書、Webサイト、展覧会などを紹介。

2019年3月:修二会のお松明と聴聞

2019-03-03 23:25:58 | 行ったもの(美術館・見仏)
 3月のカレンダーを見ながら、今年は修二会の前半を聴聞に行こうと決めていた。後半に行くよりも、いくらか混雑が緩和されるのではないかと考えていたのだ。しかし、その見通しはあまり当たらなかった。

 土曜日は、京博、薬師寺、唐招提寺をまわって、夕方、奈良に着いた。ホテルにチェックインを済ませ、腹ごしらえをして、奈良博に入り、少し時間をつぶす。今夜(2日目)のお松明は19時だが、今年はむしろ声明を聴聞したかったので、お堂に入ってしまおうかなあと思っていた。しかし18時頃、二月堂の下に行ってみると、もう石段は規制されていて上がれそうになかった。しかたがないので、閼伽井屋の前で木製の柵にもたれてお松明待機。昼間は暖かかったが、日が落ちると急に冷えてきた。スプリングコートの下にセーターを着こんできてよかった。

 やがて日本語、英語、中国語のアナウンスがあり、鐘が打ち鳴らされ、街灯が全て消える。小さな松明が「来た、来た」という声が聞こえたけど、閼伽井屋の屋根で北の石段が見えなかったので、少し前に出る。すると大松明がゆっくり上がってくるのが見えた。



 私は修二会の最終日が好きで何度か来ているのだが、最終日は「尻つけ松明」と言って、間を置かずにどんどん上がってくる。それに比べると、のんびりしているなあと思った。



 舞台に上がったお松明は、南端に移動し、火勢が弱まったところで、派手に火の粉を振り落とし、退場する。





 この日は最後の10本目のお松明が、南端に移動したところで、勢い余って、大きな火の玉を落としてしまい、思わず観客がどよめきと拍手が起きていた。

 南側の石段の通行規制が解除されるのを待って、舞台へ上がる。一方通行なので、お堂をひとまわりしないとお堂の裏側へは行かせてくれない。人の流れが渋滞を起こさないように、よく考えられた誘導だと思う。すっかり勝手を知っているので、北の茶所の奥にあるトイレへ。まだ全然混んでいない。北の茶所(無料休憩所)には、小さな段ボール箱が置いてあって、お松明の燃えさし(たぶん掃き集めたもの)をいただくことができる。それから南側の朱印所へ。今年は向かって右端のおじさんに「観音力」をいただいた。あとのお二人は「南無観」だった。去年は左の方は「観自在」だった。

 今年は少し聴聞しようと思っていたので、東の局(お堂の裏側)に入り込む。すでに中は人でいっぱいで、中央には近づけなかったが、隅のほうなら最前列まで行けた。最前列は床と格子戸の間に隙間があって、足を下せるので、正座が苦手な私にはラクなのだ。

 どの局(つぼね)の扉の前にもお寺の方がいらっしゃって「ここは聴聞するところです」「見物はできません」「私語はお控えください」「携帯は切ってください」などの基本的な注意事項を徹底してくれていた。聴聞客が中に入ると、きちんと局の扉を閉めてくれるのもありがたかった。以前は、少なくとも正面の扉はしばらく開け放しで、その他の局も扉を開け放して立ち聞きするお客さんがいたので、外の喧騒が聴聞の邪魔だったのである。今年はまわりが静かで、声明がよく聴こえて集中できた。注意が徹底しているのか、格子戸の中(外陣)のお客さんのマナーもよかった。それから外陣の照明が、以前よりさらに薄暗くなって、趣きが増した気がした。

 声明は、しばらくソロパートの唱えごとが続いた。それからリーダー(大導師?)と諸衆の掛け合いになって「南無観自在」「南無観」を聞けたので、今年はここで切り上げることにした。時間は20時半くらい。私が裏参道の石段を下っていくとき、高らかに鐘が打ち鳴らされていた。ひっそりと扉の閉まった湯屋の前には、鹿や鳥などに与えるご飯が出ていた。



 大仏殿の裏あたりまで、三々五々人影があったが、気がつくとひとりになっていた。しかし、特に怖いとは思わない。博物館前まで来ると、まだ路線バスが動いていて、バスでJR奈良駅前のホテルまで帰った。
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