南スコットランド在住の「ウマさん」からお便りがありました。このブログがマンネリ化して読者からそろそろ飽きられてきた頃に絶妙のタイミングで送られてきます(笑)。
ありがたいことです。感謝しながら転載させていただきます。
「明治屋の盃」
僕には座右の銘はありません。敬愛する画家の、故・堀文子さんが、おっしゃってたコメントを思い出します。
「座右の銘を持つようになったらおしまいね」…
でも、座右の本はあるんです。
丸谷才一さんの「星のあひびき」それに田村隆一さんの「詩人の旅」
丸谷さんは、なんと言っても、その旧仮名遣いの文章がいい。なんか、ほのぼのしてくるんだよね。
「ヘルマン・ヘッセといふドイツの小説家は、モーツァルトのオペラ『ドン・ジョバンニ』について、人間によって作られた最後の完璧なもの…と言つたさうですが」…
田村隆一さんって、いつも飄々(ひょうひょう)としてらっしゃる。僕に詩ごころはないけど、田村さんの詩を眺めていると、自分も飄々としてくるような気がして嬉しくなります。そして、彼には独特のユーモアのセンスが… 「いいですか、越前カニを食べに行くのですよ。だから、汽車弁はおろか、ビールなどもってのほかです」…凄い酒呑みなのに「ビールなどもってのほか」だって!
丸谷さんのユーモアもしかりです…「アジアでは星も恋する天の川」…
このお二人に共通するのは、外国の文献をよく読んでらっしゃることかな。田村さんなど、アガサ・クリスティ作品の翻訳もしておられる。でも、お二人とも、そんなことに言及されることがありません。自慢しいの僕など、見習わないとね。
で、僕のデスク…つまり、座右には、上の二冊の文庫本が常に鎮座してるんだけど、実は、鎮座している物が、もう一つあります…それはね…
僕の最愛の居酒屋であり、大阪最古の居酒屋でもあり、僕が大学浪人時代に通い出した居酒屋…
その「明治屋」のお猪口、おちょこ、つまり「さかずき」が、常に座右に置いてあるんです。
大学浪人時代、朝「予備校に行く」と家を出る。天王寺に着いても予備校には行かない。
天王寺公園にたむろしているホームレスのおっちゃん達の輪に入る。10時になると、おっちゃん達に「ほな、また…」と阿倍野筋のチンチン電車沿いを歩いて明治屋に向かう。そう、当時は朝10時に開店していた (今は午後1時)。その理由を明治屋の大将、松本さんは「夜勤明けの人が来はるさかい…」
今、思うに、すごく暖かい営業方針だったね。
昼過ぎに、また、とぼとぼと歩いて夕陽丘図書館へ行き、好きな本をたらふく読む…
で、午後4時ごろ、再度、明治屋へ。ちょっと背伸びして、常連のおっちゃん達とカウンターで肩を並べる。帰りの電車賃がない時など、天王寺公園派出所のおまわりさんに借りるんです。
「また君かいな…」
家に帰ると母親に言われましたね「あんた予備校へ行ってるんやろ?なんで毎日酒臭いの?」
大学浪人の分際で酒臭い…実は、明治屋の存在を教えてくれたのは親父なんです。
「酒を呑むなとは言わん。が、まともな店で呑みなさい」
かなり後年、女房のキャロラインを初めて明治屋へ連れて行った時の彼女のコメント…
「サムライが出てきそう」…
そんなこんなで、明治屋は僕にとって忘れ難い店だということですね。
自分のデスクに「お猪口」を置いてる人間って、ほかにいるやろか?
まほろばはるか 思ふは 日いずる国
虚心坦懐 詩酒生涯ありや
明治屋の 扉開くるは いつの日ぞ
暖簾くぐるは いつの日ぞ…
ま、せめて、その「お猪口」を座右に置き、そして懐かしむ…の図でしょうか。
唇が触れる部分が絶妙のカーブを描いて外に広がる。これが酒を一層旨くする。
以上のとおりです。
この「盃」は外人さんにも好評のようですね、ずっと以前の「ウマさん便り」の中で、この盃を近くの天文学者から所望されて差し上げたところ、たしか交換にクルマを頂いたという記事がありましたね~。
ところで、冒頭に出てくる「座右の銘を持つようになったらおしまいね」…、その是非について。
おそらく、人間は自由で柔軟な生き物なんだからそんなものに縛られて生きる必要はない、否・・その通りに出来るはずがない、という意味でしょうか?
そこで「チャットGPT]さんの出番です。
「座右の銘」を持つことの功罪について。
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