周知のとおり今年の夏は異常な暑さで、高知の四万十(しまんと)ではとうとう史上最高の41度を記録した。
現地の人が「身体が焼かれるような気分」と言っていたが、その暑さの程におよそ想像がつこうというもの。熱中症で倒れる人も例年に比べて3割増というからもう大変。熱中症と日射病との違いだが、前者では室内でも発症するのが大きな特徴。
そこで、この9日(金)から11日(日)にかけて「オーディオ熱中症」に罹った人間がこの日本列島のどこかに一人いた(笑)。
とにかく3日間、朝から晩まで部屋の中を這いずりまわって横倒しにしたスピーカーをあれこれいじり回すのだから傍から見ると少し異常?
これも前回のブログで詳述したように、たまたまオークションで手に入れたグッドマンのオリジナル・エンクロージャーに大いに触発されてのことである。
ところで話が逸れるが、出品も含めてオークションをよく利用されているオーディオ仲間のMさん(大分市)によると、「真夏は掘り出し物が格安で手に入る確率が高い」という。全体的に動きが低調だし、落札間際でのたたき合いによる値段の高騰も少ないとのこと。
「猛暑のせいで音楽を聴く気にならない」 → 「オーディオ機器への興味が薄れる」 → 「オークションを覗く人が少なくなる」の三段論法だが“なるほど”と思った。
掘り出し物を見つけるなら今が狙い目というわけだが、今回の(掘り出し物の)ゲットはこの暑さにもめげずにオーディオに熱心に勤しむ人間に、きっと神様が微笑んでくれたに違いない(笑)。
さて、スピーカーエンクロージャーの重要性についてはこれまでのオーディオ経験でおよそ分かっていたつもりだったが、車の運転を覚えるのと一緒で、頭で分かっていても実際に体感しないと骨身に沁み込まないようだ。
今回、ようやく重い神輿を上げて我が家の「AXIOM80」システムのエンクロージャーを抜本的かつ全面的に見直すことにしたが、マニアの方の中には他人の実験事例なんて興味のない方もおありだろうが、「失敗学のすすめ」(畑村陽太郎)にもあるように、他人の生きた教材を見聞すると参考になるかもしれませんよ。
ちなみに、これまでの姿は次の写真のとおり。
「AXIOM80」(以下、「80」)とウーファー2発の間には背圧処理の関係で厚さ5センチの重い仕切り板を斜めに入れていたのだが、いかにも「80」が窮屈な空間に押し込められていたことが分かる。それを羽毛の吸音材でカバーしていたわけだが、今回の改造はこの仕切り板を外して、ウーファー2発も取っ払い「80」をフルレンジで鳴らしてみようというわけである。
この仕切り板の撤去に9日(金)の早朝から取り掛かったが、とても素人の手に負えるものではなく途中でとうとうギブアップ。このエンクロージャーを作ってもらった業者に電話して持って返ってもらい外してもらった。幸いその日の午後には無事帰還。
すぐに作業に取り掛かって、次の写真のような結果に。
これで、とりあえず試聴してみたわけだが期待したほどではなかった。悪くはないのだが「80」に元気が感じられない。今、考えると明らかに羽毛の量が多すぎた。もっと減らしてやって実験すればよかったがもう後の祭り。吸音材の量の調整ばかりは、エンクロージャーの裏蓋を開けたり、閉めたりして試聴するのでメチャ手間がかかる。
次に、やってみたのがスペアの「80」を活用して片チャンネル2発で鳴らすやり方。
ところが、これが大失敗だった。
以下、続く。