「音楽&オーディオ」の小部屋

クラシック・オーディオ歴40年以上・・身の回りの出来事を織り交ぜて書き記したブログです。

オーディオ談義~周波数200ヘルツ以下の世界

2012年01月31日 | オーディオ談義

先日、何気なくテレビを観ていたら「建もの探訪」(テレビ朝日)という番組が放映されていた。

首都圏近郊の洒落た新築の建物を外観、内部の構造、機能などに亘って細かく紹介する番組で、1000回を超える長寿番組(ウィキペディア)だそうだから、きっと何度かご覧になった方も多いことだろう。

「もっと快適な家に住みたい」というのは、誰もが永遠に抱く「夢」のようなものだから長寿番組というのも十分頷ける話で、たとえば自分だって、30畳程の天井の高い大広間でウットリと音楽を聴いている姿を今でもときどき夢見ることがある!ああ、一度でいいから「宝くじ」に当たらないかなあ~。

今回、テレビに登場している建物は広さはそれほどでもなかったが、機能的にはうらやましくなるほどの設備を備えていて、たとえば壁面全体をガラスにして採光を十分なものにし、その一方で夏の暑さをしのぐため壁面の上からシャワーのように水を垂れ流す家庭内循環システムを取り入れてあった。

見た目にも「これは涼しそうだなあ~」と、思わず感心ながら観ていると、そのうち、2階にある家主の6畳ほどの書斎にテレビカメラが侵入したところ、それほど大きくもない机の上の左右両端に高さ30cm、幅20cmほどの小さなバスレフ型のスピーカーが設置され、中央付近に小型の真空管アンプが鎮座しているのを映し出した。

探訪者(俳優の渡辺篤史さん)が「ご主人はオーディオをされるんですか」との問いに(家主が)「ハイ」と”にっこり”。書棚にはCDもたくさん収めてあったし、地元の「第九を歌う会」のリーダーも務められているそうで、さぞや音楽が好きな方なのだろう。

しかし、改めて「え~っ、これがメインのオーディオ装置なの?」と、あまりのミニチュアぶりにいささか驚いてしまった。

人間が聞こえる周波数帯域は周知のとおり、20~20000ヘルツとされており、オーディオ装置で音楽を再生するとき、30~15000ヘルツぐらいをカバーできれば、まずは上等の部類に入るだろうが、この装置だとスピーカーの口径からしておそらく下の帯域が200ヘルツ程度も行けば上出来だろう。

まるで箱庭や盆栽を楽しむような趣といったところだが、もしかすると自分が知らないだけで、これが現代の「オーディオの一般的な姿」なのかもしれないと思ったことだった。

オーディオの目的が音楽を聴くことにあるのは言わずもがなだが、(音楽に)感動する仕組みは各自の脳の中にセットされているので、オーディオ装置のレベルに言及するのはあまり意味がないと思っている。

つい先日も小さなラジカセでモーツァルトの「ファゴット協奏曲第二楽章」を聴いて胸を打たれたばかりなので、赤の他人が軽々に装置の良し悪しの価値判断を出来ないことは分かっているが、こういうシステムだと「オーディオの楽しみ」というものが半分くらいしか味わえないのではないかという気がする。

「周波数200ヘルツ以下の世界」がオーディオで最も”おいしい”ところなのにそれを味わっていないなんて、実に”もったいない”。


従来からの、これは独り勝手の個人的な思いだが、オーディオの醍醐味の一つは「量感」と「分解能」の「程よい調和」にあるような気がしてならない。

「量感」とは読んで字のごとく「豊かな音」を指し、「分解能」については、自分なりの理解ではたとえば再生中の音場で個別の楽器の位置とか、奥行き、音色をくっきりと表す能力を指す。

この両者を「いかにバランスよく両立させるか」にオーディオマニアとしてのセンスが一番問われると勝手に思い込んでいるのだが、この命運を文字通り左右するのが、およそ「周波数200ヘルツ以下の世界」なのであ~る。

この周波数帯域を具体的に分割して言えば、30~60ヘルツの「最低音域」部分、60~100ヘルツの「低音域」部分、100~200ヘルツの「中音低域」部分となる。

自分のオーディオ人生を振り返ってみると、結果的にこの帯域をいかにうまく再生するかという部分に「血(お金)と汗と涙」の70%近くを注ぎ込んだような気がする。

以上、前置きが随分と長くなったが我が家の第一システムの再生装置に話を移そう。

このシステムの中高音域に使っている「Axiom80」には今のところまったく不満はないが、問題は中低音域のフォステクスの「SLEー20W(口径20cm)4発」にあって、周波数帯域の受け持ち範囲がまさにこの200ヘルツ以下に該当しているのだが、どうもこの辺りの「分解能」がいまいちで、オーケストラの響きが団子の塊りのように聴こえることがあり、最近、第二システムの「JBL軍団」が急成長してきたこともあり、とみにその弱点が目立つようになってきた。

これまでも、6か月おきぐらいに「4発」にしたり「3発」にしたりと試行錯誤してきた経緯があり、今回もその”繰り返し”というわけだが、今回は新たにアイデアを思いついたので「善は急げ」とばかり
28日(土)の午前中から現状のウーファー「4発」から「3発」に容れ直す作業に取り掛かった。

いつも土曜、日曜にオーディオの作業が集中するようだが、休日はカミさんが家に居るのでスピーカーを降ろしたり上げたりするときに「お~い、加勢してくれ~」と言えるから便利。


              

今回の作業の順番を写真で説明すると、一番左が取り掛かる前のウーファー「4発」。

中央がウーファー1発を取り除いた後にスペアとして保管している「Axiom80」を試しに容れたもので、これでとりあえず試聴してみたが、まったく冴えなかった。この縦長のボックスは内部にそれぞれユニットごとに分厚い板で斜めに(定在波を防ぐために)仕切っているのだが、「Axiom80」にとっては、なにぶん容積が足りなかったとみえて「高域がキャンキャン」して聴きづらかった。

改めて、SPユニットに応じた適切な容量のボックスの重要性を考えさせられたわけだが、以前はこの状態で聴いていたこともあるので「あの頃はよくもまあ、こんな音で我慢して」という感じ。もしかして自分の耳が急成長したのかな?

結局、一番右の写真が最終形となった。今回のアイデアというのは取り除いたユニットの穴を板で塞ぎ、がっちり裏からネジ止めしたもので、使わないユニットをそのままにしておくと、全体の響きが悪くなるそうなのでやはりこれが現在のところベストの処置のような気がする。

これで試聴してみると、音に適度に締りが出て、「量感」と「分解能」のバランスが程よく取れ「バッチリ、200ヘルツ以下もOK!」だが、これまでの経験上、あまり早く結論を出さないほうがよさそうなので、まあ1週間ほどいろんな音楽ソースで試してみようかな。


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