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「音楽&オーディオ」の小部屋

クラシック・オーディオ歴40年以上・・身の回りの出来事を織り交ぜて書き記したブログです。

南スコットランドからの「ウマさん便り」~2023・2・20~

2023年02月20日 | ウマさん便り

「ご近所にいたアニー・ローリーさん」 

南スコットランドのダンフリース郊外にある我が家の周辺は、すべて、羊、牛、馬の放牧地で、家のまわりには、野うさぎ、リス、鹿などが出没する。

最近も、二匹の可愛いいバンビがぼくの部屋を覗いてた。 

さて、おのおの方は、かつて文部省唱歌にもなった「アニー・ローリー」をご存知だよね。実在したスコットランドの絶世の美女に夢中になった方の、その熱い想いを綴った詩に曲がつけられ「アニー・ローリー」となり、明治の日本に「オールド・ラング・サイン(蛍の光)」や「麦畑」などと共に紹介された。 

ぼくの家を出て右方向に田舎道を十分ほど走ると、アニー・ローリーの生家、マクスウェリントン・ハウスがある。丘の上にある立派な白亜の邸宅です。その家の前を通るたびに、かつて小学校時代、音楽の時間に親しんだ「アニー・ローリー」を懐かしく思い出す。アニーさんはあの白い邸宅で生まれ育ったんや…  

そして、ほのぼのとしたあの優しい旋律、とても好きやなあ。だから、時々、自分勝手流にピアノで「アニー・ローリ」を弾くことがあるよ。下手やけど… 

ぼくの家を出て車で左方向にほんの3分ほど行くと、とても素敵なリゾートホテルがある。自然溢れる静かな環境が素晴らしい。このフライヤーズ・カースは、かつて貴族が住んだヴィクトリア時代の邸宅です。  

すぐそばを流れる美しいニス川は、サーモン釣りで知られ、シーズンになると、このホテルには多くの釣り人がやって来る。

白鳥も舞い降りるこのニス川沿いの道は、うちの犬クリが大好きなので、ちょくちょく散歩に行く。散歩のあとは、このホテルのラウンジで、ビールやワインをいただくのが楽しみになっている。クリはテーブルの下でおとなしくしているよ。 

かなり以前のこと、このフライヤーズ・カースで大きなパーティーがあり、ぼくも女房も招待された。いつも静かなこのリゾートホテルには、着飾ったおおぜいの人が集まり、呑み唄い、そしてダンスに興じていた。

その華やかな雰囲気に、つい飲み過ぎたぼくは、外に出て、芝生にあるテーブルで、ワイングラスを手に、目の前のニス川に落ちる夕日を眺めてた。ま、爽やかな宵のひと時だよね。

それで、ワインのお代わりをもらおうと邸内に入ろうとした時だった、どこからともなくピアノの音色が聞こえてきたんや。 

びっくりした。このフライヤーズ・カースに、立派なアンティークのグランドピアノがあるのは知らなかった。

淡いパープルのロングドレスを着たおばあさんが、ブラームスの子守唄を、たどたどしく、でも、とても楽しそうに弾いておられた。

生のピアノの音に嬉しくなったぼくは、そっとピアノに近づき、ピアノに合わせてハミングしたんです。そしたら、ぼくに気づいたおばあさん、ピアノの演奏をやめ「あなた、弾いて見ない?」だって。

ほろ酔いですごく気分の良かったぼくは心臓も強かった。なんと、おばあさんと交代して、あの「アニー・ローリー」を弾き始めたんや。

そしたら、あんた、とんでもないことが起こったのよ。

ぼくが弾く「アニー・ローリー」を聞きつけたおばあさんたち数人が、ピアノのまわりを囲んだんです。 

弾き終わった時は、大きな拍手をいただいた。

そして、ひときわ品のあるおばあさんが、やや興奮しながらおっしゃった。

「あなたねえ。彼女、すごく喜んでるわよ」

「エッ? 彼女ってどなたのことですか?」

そのあとのおばあさんの言葉にはもうびっくり。めちゃ驚いた。

「もちろん、アニー・ローリーよ。彼女は、この屋敷で晩年を過ごし、そして亡くなったのよ。ほら、あそこの壁に、彼女が使ってた湯たんぽがかけてあるわよ」 

日頃、犬の散歩で慣れ親しんでいたこのホテルで、あのアニー・ローリーが亡くなったとおばあさんはおっしゃる。半信半疑のぼくは、思わず

「それ、本当ですか?」

その後、十年ほど経た頃、日本から送られてきた本に、アニー・ローリーがフライヤーズ・カースで亡くなった事実が記載されていた。あのおばあさんが言ったことは本当だったんだと、とても嬉しくなった。 

で、ふと気がついた…

ぼくの家を出て右に行くとアニー・ローリーの生家マクスウェリントン・ハウス、左に行くと彼女が晩年を過ごし亡くなったフライヤーズ・カース…と言うことは…つまり、彼女は、間違いなく、うちアラントンハウスの前を馬車で通ってたんだよね。でもな、将来、この地に、大阪のおっさんが住むことになるとは、アニーさん、夢にも思わへんかったやろなあ。

文部省唱歌として小学生の頃から親しんだ「アニー・ローリー」をこんなに身近に感じることになるなんて… 

夢に彼女が出て来たらきっと言うやろね…

…アニーさん! あなた日本でも親しまれてますよ…

アニー・ローリーの生家・マクスウェリントンハウス。小高い丘の上にある白亜の邸宅 

アニー・ローリーが晩年を過ごし亡くなったフライヤーズカースにて次女のローザと。壁にある丸いのが彼女が愛用した湯たんぽ。

アニーさんもこのソファに座ったんとちゃうやろか。

(註)残念なことに素敵な写真(白亜の豪邸と「ウマさんと次女様」の映像)がコピペできませぬ~(涙)。



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