「人間の血管の中にナノボット(超小型ロボット)が注入されて、自動的に病巣を捜し出し治療してくれる」そういう夢のような話が現実味を帯びてきている。
年末(2006年)にNHKBSで放映された「未来への提言」は世界のキーパーソンとして、20世紀のエジソンと呼ばれスキャナーの発明で有名なレイ・カーツワイル氏(マサチューセッツ工科大卒)へのインタビューだった。
同氏は、1988年の著作「インテリジェント・マシーン」でコンピューターの発達に伴う数々の予測を的中させてきた。
90年代初期のイラク戦争におけるデジタル技術の活用、90年代半ばのインターネットの誕生、90年代後半にはコンピューターがチェスの世界チャンピオンを打ち負かすなどなど。
「発明家は発表のタイミングが重要」と語る同氏だが、21世紀の「テクノロジーの急速な進化」について次の3つの分野が鍵とみている。素人の自分にはかなり分かりづらいが理解できる範囲で次のとおりだった。
①遺伝子工学は既に2003年にヒトゲノムの解読が完了し、データベース化が成功したのでこれから遺伝子治療が飛躍的な発展を遂げる。
②ナノテクノロジーは1mmの100万分の1を取り扱う技術が進展し、原子レベルで新たな物質の作成が可能となる。
③ロボット工学はコンピューター技術の更なる進展により人間の知能に匹敵する人工知能を持ったロボットが開発される。
この遺伝子工学、ナノテクノロジー、ロボット工学が融合して冒頭で述べたナノボット(カーツワイル氏の命名)が開発されるとのことで、血液細胞よりも小さいロボットが血管の中に入って治療するというものだ。
これはガンなどをはじめとする現代の難病や老化を防ぐ画期的な治療になると待望されており、既にアメリカでは初期段階の動物実験に入っている。
さらに、番組の終わりでアメリカ医学会関係者が「ナノボットが登場する時まで人々の若さを保つことが医者の使命」と言っていたが、何だか現在の医学の限界を悟ったような物言いが印象的だった。
問題はこの新技術が確立し、応用される時期が何時なのかだが、カーツワイル氏の予想は2020年ごろ、アメリカ医学会では20年~30年後と双方の予測にかなり開きがある。
いずれにしても、医療の世界以外にも広範に利用されるナノボットの時代が到来して、社会と医療に大革命を起こすことは間違いない。
長生きの是非は別として、現在難病に苦しんでいる方は大きな光明だろうが、この新技術はプログラム・ミスなどにより人間にとっては両刃の剣になることも付言されていた。
また、同氏の近著「シンギュラリティ(特異点)は近い」によると2045年ごろにはコンピューターの演算処理の加速によって人工知能が人間の知能を上回る特異点が来ると予測されており、人類にとっては未知の領域に入るのでいかに備えるべきか大きな課題になってくるだろうとのことだった。
レイ・カーツワイル氏
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