タイトルにある「雑考」とは、「系統立っていない考察や考証のこと(広辞苑)」とある。
「お前のブログはいつも系統立っていないからわざわざことわらなくていい」と突っ込まれそうだが、今回はひときわ独善的な様相を帯びているような気がするので始めから予防線を張っておくとしよう(笑)。
以下、すべて私見なので念のため、そして気を悪くする人がいたらゴメンね~。
さて、長年、馬齢を重ねてきたオーディオだけど一番難しいのは「低音の鳴らし方」ではないかと常々思っている。
「低音」というのは、手元の資料によると「最低音域=30~60ヘルツ」、「低音域=60~100ヘルツ」、「中低音域=100~200ヘルツ」とあり、およそ200ヘルツ以下を総称して「低音」と言っても大きな間違いではなかろう。
そして、この200ヘルツ以下というのがたいへんな曲者で、たとえば音域を「ピラミッド型」だとすると、この底辺の過不足次第で音全体がガラッと変わってしまう怖ろしさをどなたでも経験済みのことだろう。
そして今もってどういう鳴らし方がいいのか「ストレイ・シープ」の状態が続いている・・。
具体例をあげてみよう。
実はここ1か月ほどのうちで、2軒のお宅をご訪問させてもらって独自の工夫による渾身(こんしん)の力作(システム)を拝聴する機会をいただいた。
いずれもジャズ愛好家で、片方は「JBL」、片方は「アルテック」の本格的なシステムで、低音用のユニット(ウーファー)はいずれも口径38cm!
ところが・・。
堂々たる音なんだけど、どうも音声信号に対する反応のスピードがイマイチというか、かったるく感じてどうしようもなかった。もちろん、自分の耳の方がおかしいのかもしれない。
というのも、日頃から口径「25~30cm」のユニットしか愛用していないので、ことさら違和感が増した可能性が大いにある。
で、その一方「相手方」からすると、当然のごとく我が家の音を聴いた途端に「低音の迫力が物足りない」と、きっと感じるに違いない。
彼我(ひが)のどうしようもない違いについて、いったいどう考えたらいんだろう~。
オーディオは自分で満足さえしていれば、別に他人に迷惑をかけるでもなし、それで成り立つ趣味だが視点を「好きか、嫌いか」から「正しいか、正しくないか」に移すと話が違ってくる。
もちろん個別事情もある。口径38cmといったって、励磁型もあるだろうし、コーン紙の厚さも重さも違うだろう。
たとえば「アルテック」の方が「JBL」よりも軽いという話もある。そして、駆動するアンプによっても変わってくるし、さらには嗜好がクラシック派かジャズ派かにもよる。
そういう諸々の状況も踏まえての話なんだけど、その辺は先日の「ハイエンドオーディオフェア」(福岡市)が一つのヒントになる。
試聴用として展示されていたスピーカーのうち口径38cmのユニットがやたらに少なくなっており、まあ、今に始まったことではないけれど、せいぜい「JBL」か「タンノイ」ぐらいで、あとは押しなべて口径20~25cmのユニットが2発」といった具合。
たとえば、現代を代表するスピーカー「B&W」(594万円)がそうだった。
幾多の研究を積み重ねたメーカーが「口径38cm」を起用しない理由がきっとあるに違いないとは思いませんか~。
もうひとつ身近な具体例を挙げてみよう。やや手前勝手な実例だが(笑)。
一昨日(4月1日)にオーディオ仲間がお見えになったので「ウェストミンスター」(改)を聴いていただいた。
ゲリー・カーのコントラバスとオルガンを聴いていただいたところ、地を這うような重低音に驚かれていた。
「これまでいろんなお宅のシステムを聴かせていただきましたが、こういう重低音が聴けたのは初めてです。オリジナルのタンノイの38cmのユニットですか?」
「いいえ~。我が家では38cmは反応が鈍いので使わない主義です。口径30cmのワーフェデールのユニットが入ってます。ただし、赤帯のマグネット付きですけどね」
「タンノイの技術者にぜひ聴かせてやりたいですね。口径30cmでもこれだけの低音が出るんですから・・」
「まあ、たまたまユニットと箱のツクリの相性が良かったのでしょう。それにしても低音の鳴らし方を主としてユニットの能力に頼るのか、それとも箱に頼るのか、運命の分かれ目でしょう。
前者がアメリカ系で、後者が英国系といえます。私は圧倒的に箱に頼る方に与(くみ)する人間ですが、未だにどれが正解かは分からないってとこですけどね~」
結局、根源的なところではリスナーが周波数レンジに拘らない「教養ある耳の持ち主」になることが一番なんでしょうが(笑)。
皆様はこの「低音論争」について、いかが考えられますか~。「一家言」(いっかげん)ある方が多いと思うんだけどなあ・・。
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