「音楽&オーディオ」の小部屋

クラシック・オーディオ歴40年以上・・身の回りの出来事を織り交ぜて書き記したブログです。

秋の陣・オーディオ訪問記~四国編その2~

2020年10月18日 | オーディオ談義

前回からの続きです。

Sさんにご案内されたリスニングルームは2階にある書斎を兼ねた部屋だった。次の画像のとおり、室内の周りは蔵書、レコード、CDで満載だった。





ライフワークと仰る「レオナルド・ダ・ヴィンチ」と「ルネッサンス」に関する研究書が多かった。

とても器用な方で、イギリス製のミシン(5台)の修理もなさるそうだ。1936年製のシンガーミシンがこれ。


「ネジの一つまでばらして磨きながら材質と工作精度の高さに毎回驚嘆します。当時、ひと月に一つの工場で何十万台もこんなものを作っている国、ミシンが作れるということはマシンガンも作れるという事、東条英機がミシン修理を趣味にしていたら・・・」と、仰った。

同感です、それに当時のイギリス製オーディオ機器のハイレベルなツクリにしても納得の一言ですと心から賛同した(笑)。

こういう繊細で緻密な方が毎日聴かれるオーディオシステムって、だいたい想像がつきますよね。



自作のバックロードホーンの箱に入った「AXIOM80」(初期版)。



トーレンスのプレイヤーにカートリッジはオルトフォンのSPUーG(丸形針)



プリアンプはマランツ7。



パワーアンプは300Bシングル。

CDよりもレコードが主体で、夜中に照明をつけずに「ろうそく」の光だけでクラシック音楽に耳を傾けられるそうで、まさに真の音楽愛好家を彷彿とさせる聴き方だ。

「自分だけがこの世で最も贅沢な時間の中にいるという感覚が味わえる」はこの種の趣味では必須でしょう。

そうじゃないと誰がこんな風変わりな趣味に「〇百万円」も突っ込みますかいな(笑)。

Sさんの音楽の聴き方からついイメージが膨らむが、はじめに次のレコードを聴かせていただいた。



「ワーグナー楽劇」には欠かせない「フラグスタート」(ソプラノ)の陰影のある暗めの声がお好きとのことで、この「スークポーヴァ」にも共通点があるとのこと。

この後、持参したCDなどを聴かせていただきながら2時間半ほど試聴させていただいたので、ここでSさん宅の「音」について僭越ながら感想をひとこと述べさせてもらおう。

とはいえ、こういうときにいつも思うのだが「音楽&オーディオ」は直接的な感覚の世界なので基本的に言語表現には適しておらず、何を言っても正鵠を射ていない気がするがその辺をまずお断りしてからあえて蛮勇を奮ってみよう。

エッジレスなど、その独特のツクリから精緻な音質を誇る「AXIOM80」の鳴らし方にも二通りのタイプがあるように思う。

ひとつはこのユニットの能力をギリギリまで引き出して楽しむタイプで、たとえば音楽ソースにうまくハマったときはこの上なく妙なる音を出すが、一つ間違うと高音域がやたらに神経質になるという紙一重の世界に遊ぶタイプ。

もう一つは、(このユニットを)余裕をもって鳴らすタイプで長時間聴いても疲れない、まるで「いぶし銀」のような音、徒に周波数レンジや鮮度を追い求めず音の彫琢というか彫りの深さを求めて、ひたすら「自分独自の音楽の世界に入り込めるかどうか」を基準に置くタイプ。

前者が「オーディオ的」な鳴らし方だとすると後者が「音楽的」な鳴らし方とでもいおうか。

さしずめ、Sさんは後者のタイプだと思ったが、そこはそれ微粒子がいっぱい詰まった音を出す「AXIOM80」だから抜かりはなかった。

こういう音を聴かせていただくと、我が家も「AXIOM80 」だけにして後のSP群はすべて処分しようかなんて気にさせられる(笑)。

事実、訪問日の翌日(13日)から我が家ではずっと「AXIOM80」ばかり聴いている始末。

談論風発のなか、あっという間に時間が過ぎて予定の15時になった。お土産に地域の名産と、Sさん「手づくりの手帳(ネーム入り)」をYさんともどもいただいた。



奥様と一緒に見送られる中、あとは三崎港目指して一目散。

出港が16時半の予定に対して順調に16時10分に着いたので余裕の到着かと思っていたら、予想外にも待機している物流トラックが多くて案内ガイドさんから「予約されてますか?そうでないなら次の便に回ってもらうかもしれませんよ」にギョッ。

結果は辛うじて船の最後尾に滑り込んでギリギリ滑り込みセーフ。実に危なかった。

結局自宅に帰り着いたのは「佐賀関港」から夜間の高速をぶっ飛ばして真っ暗闇の19時頃だった。この日の走行距離は210km。やっぱり日帰りの四国行きは日程的にちょっときつかった。

帰りの車中でYさんともども「ほんとうの音楽好きの方のオーディオって、やっぱり趣が違いますねえ! 四国という風土とけっして無縁ではないでしょうからほかにも凄い愛好家がいそうですね」。

つくづく実り多き一日だと思ったが、今年の「オーディオ秋の陣」は「LANケーブルの導入」をはじめ快調そのものですぞ(笑)。

最後にSさん、どうもお世話になりました!



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