前々回からの続きです。
我が家の実験用システムとしてずっと楽しませてもらっているタンノイ「ウェストミンスター」(改)。
ご覧のとおりボックスだけは何とか原形を留めているもののユニットとなると荒療治によって似ても似つかぬものに変身している。
初めの頃はそれは、それはひどい音だったが、このところ「あの手この手の対策」でようやく様(さま)になるようになった。
やはり「ウーファーの交換」「チャンデバ → 新ネットワークの導入」の効果が大きかったようだ。
とはいえ所詮は自己満足の領域に過ぎず「井の中の蛙」になることはなるべく避けたいのでいつもオーディオ仲間たちの「耳」を参考にさせてもらっている。
今回もそうだった。
「JBLのLX80という新しいネットワークを手に入れましたよ。なかなか優れもののようです。今からご試聴いかがですか。」と、近隣のオーディオ仲間(仮称:Yさん)に呼びかけたのは去る22日(土)の冬晴れの午後のことだった。
Yさんは急なお誘いにも関わらず、通算するとおよそ8割くらいの確率で「ああ、いいですよ。」と、ご快諾いただけるのでたいへんありがたい存在だ(笑)。
最初の試聴盤はこのところ重宝しているバレエ音楽「三角帽子」(アンセルメ指揮)。とても色彩感豊かな素晴らしい演奏である。
SACD化した盤がつい先日のオークションに出品されていたが入札者が殺到して何と1万3千円の高値で落札されていた。「名盤」であることを皆さんとてもご存知のようだ。
さて、Yさんの評価はといえば結論からいくと大好評だった。
以下のようにぬけぬけと、他人の賛辞を書き連ねる神経もどうかと思うが(笑)、書かないと具象化できないのでどうか許してほしい。
「いやあ驚きました。音に立体感が出てきましたよ。それに質感が高級になりました。これに比べるとこれまでの音はザラッとした粗さが目立つ印象です。それにしてもネットワークでこんなに変わるものですか。参考のためにカバーの中身を見せていただくとありがたいのですが。」
「ああ、お安い御用ですよ。」
「空芯コイルではないですね。」
「はい、低損失オリエントコア採用のコイルだそうですよ。音の違いの要因はここにありと睨んでいます。」
試聴は好調のうちにさらに続く。Yさんが持参されたのが優秀録音で有名な「TELARC」のCDだった。「逸品館(大阪市)のオヤジさんが気に入っているCDですよ。」
「ツァラストラはかく語りき」の凄い低音がどうにか再生できた気がする(笑)。
「長大なバックロードホーンの威力がもろに出てますね。こういう音はブックシェルフタイプではとても無理です。何しろJBLのD130(口径38センチ)のときよりも低音が出てますよ。」
「口径30センチ(赤帯マグネット)のユニットの方がこのバックロードホーンとは相性がいいみたいです。」
このまま終わってくれると、それこそバンザイ三唱ものだったが、そうは簡単に問屋が卸さなかった(笑)。
「ドヴォルザークの8番をお持ちじゃないですか?思い出のある曲なんです。とりわけ第三楽章が好きです。」と、Yさんから要望があった。
「はい、ジョージ・セル指揮のものならありますよ。」
実はこの第三楽章の弦のユニゾンが大いに問題提起をしてくれた。
「ちょっとクラシックにしては音色が明るすぎて雰囲気がそぐわないようですね・・。」
相呼応するように、自分も「ウ~ン、ちょっとJBLのクセが出過ぎのようです。CDが評判の悪い「CBSソニー」レーベルというのもちょっと気になりますが・・。」
これからがドタバタ劇の始まりだった(笑)。
お客様の前でそれこそ、800ヘルツから使えるありとあらゆるツィーターを引っ張り出して試してみたがいずれもアウト。どうしても「175」には追い付かなかった。
「ネットワーク」と「175」がJBL同士「同じ穴の貉(むじな)」として深く絆を結び、がっちりとタッグを組んでいる印象を受けた。
結局、クラシックとジャズの両方を「高い次元」で熟(こな)せるシステムの成立がなかなか難しいことを改めて痛感した!
当面の対策としては、クラシックのときだけ「ネットワーク」の高音域のボリュームを絞ることにしよう。
システムの欠点が分かるたびに「やっぱり聴き込むと何かしらアラが出てくるなあ」と、いつもガッカリするのだが、その一方では「何とかせねば」とファイトも湧きおこる。
この繰り返しが結局「生きるエネルギー」になっているんだろう。
そういうわけで、実はあまりにも「万能の音」が出てくれるのも困るのである。
いや、けっして「負け惜しみ」ではなくて~(笑)。
クリックをお願いします →