前回からの続きです。
よく考えてみたら、「ハイレゾを初めて聴く」なんてタイトルは、自分のマイナス部分をモロにさらけ出すようでちょっと不穏当だったかもしれない。
心なき人から「今ごろハイレゾを初めて聴くなんて無知にも程がある!」なんて攻撃を受けそうだが、“ありの~、ままに~ → 「リアリティ」”がこのブログのモットーなので仕方がない(笑)。
まず会場の全景を再掲しておこう。
それなりによく考えられたシステム配置である。両端のスピーカー(タンノイ・ウェストミンスターR)の真ん中に反響機器を置いて音の中抜けを防止しているし、それぞれ両脇には厚い板を補強している。
会場に着いたときにはすでにレコードによる音楽が再生されていたが久しぶりに聴くウェストミンスターの同軸2ウェイの音が懐かしかった。我が家のは「TWシリーズ」だが、これはそのひとつ前の「Rシリーズ」。
しかし、音の良し悪しは別にして個人的な意見を言わせてもらうと、(日頃「AXIOM80」ばかり聴いているのでそれとの比較になるが)タンノイ独特のやや硬質な中高音域、大きな図体の割にローエンドまでスッキリ伸びきらない低音域に「やっぱりなあ~」と落胆。
これが嫌で自分は「TW」を改造してJBLシステムとの混成旅団に再編成したのだが、改めて「正解だった」と確認した。
ちなみに、同じタンノイの最高級システムでも「オートグラフ」と「ウェストミンスター」ではまったく別物で、前者には欠点をさらけだしながらも逆に居直って、「これでどうだ、文句あっか!」という独特の“ふてぶてしさ”が見られるのが一流の役者たる所以。
そうこうするうち期待の「ネットオーディオ入門」の講演が始まった。パイオニアの原賀さんという方から非常に分かりやすい解説があった。
冒頭に「パイオニアのオーディオ部門(子会社:パイオニア・エレクロニクス)が無くなるという話がありますが、これからオンキョーさんと手を組んでやっていくのでまったくご心配は要りません」という趣旨の話があった。
折しも昨日(17日)の朝刊(朝日)に、「パイオニア2200人削減」という小見出しが躍っていた。オーディオ事業の売却などで人員を削減し、今後は「カーエレクトロニクス」事業に集中していくのだという。
俗にいう経営の「選択と集中」というわけだが、画期的なカラオケ・システムやカーナビの開発普及がなければとっくの昔にパイオニアは潰れていたに違いない。しかし、何といっても「プラズマ テレビ」の失敗が大きな痛手だったかなあ~。
余談はさておき、自社のミュージックサーバー「N-50」(ネットオーディオ用機器)を使って、乱立するパソコン・ラジオ局の音を拝聴させてもらった後、いよいよ「ハイレゾ」音源による曲目を聴かせてもらった。
ちなみに「ハイレゾ」とは周知のように「ハイレゾリューション(高解像度)の略語。“ハイレゾ音源”とは、CDを超えてよりマスターソースが持っている情報量に近い高解像度の音源(データ)のことを指す。 CDよりも情報量の多いハイレゾ音源ではきめ細やかな音になり、CDでは再生できない空気感と臨場感を表現する事ができます。」(ネットより)というもの。
ソースは日本人の女性ボーカリストだったが一聴した途端に「オッ、これは凄い!」。まるで録音現場を再現したような臨場感が広い会場を支配した。まったく想像以上の音質!
これまで聴いてきた音とはまったく次元が違っていて、我がオーディオの歴史の中でもエポックメーキング的な音だった。
それに、あの気になっていた「タンノイRシリーズ」の音質がまったく気にならないのにはほんとうにビックリした。音の入り口が次元を越えたクオリティだと、システムのアラをすべて覆い隠すということを身をもって体験した。
原賀氏によると、ハイレゾはマスターテープの段階から掘り起こしての録音収録作業になるので音声データを圧縮したCDとはまるっきり別物とのことで、音質が抜群なのも十分頷ける。
こういうことなら我がシステムもすぐに(ハイレゾに)移行したいところだが、何せ1枚のアルバムをインストールするのに「4000円」程度というのが大きなネック(笑)。ちょっと高い!
いくら“いい音”だって、個人の経済レベルの矩(のり)を越えて投資べきではないというのが自分のポリシーだが、その一方では“お気に入り”のアルバムを厳選して100枚購入するとしてその代金がおよそ40万円、それ以外は手持ちのCDで間に合わせるというパターンも許される範囲かもしれない~。
夜の飲み屋とはいっさい縁がないし、ゴルフとも無縁だし、カーマニアでもなし、せめて「音楽とオーディオ」ぐらいは贅沢させてもらわなくっちゃねえ(笑)
それに、投資効率から考えると、オーディオシステムを「音の入り口 → 増幅系(アンプ) → 変換系(スピーカー)」に図式化すれば、すべての段階に良質なものを揃えるのに越したことはないが、物理的には概ね一定のレベルに達している増幅系にはあまりお金をかける必要がないのかもしれないと思った。
たとえばアンプに50万円をそっくり投資するのと、10万円をアンプに投資して残りの40万円をハイレゾ音源に突っ込むのとでは、どちらに軍配が上がるのか、それはもう各人の考え方次第だが自分なら後者を選択する。ただし、ちっぽけで頼りなげなUSBメモリーによる(アルバムの)デジタル保存に頼りなさを覚える向きは別(笑)。
ちなみに、今回使用されていた「N-50」はDAコンバーターを兼ねておりプリアンプに直接接続(アナログアウト)できるのがいい。お値段の方もネットでググってみると市場で5万円前後のようで性能の割には安い!
既存のシステムとの相性を一考する必要があるが、これからネットワークオーディオを真剣に検討してみる価値は十分あると思った。
会場を後にするときに主催の「〇〇ムジーク」の店主「H」さんに「どうも貴重な機会をいただいてありがとうございました。」と、ご挨拶すると「いやあ、終了後にウェストミンスターを搬出するのがたいへんです。」
そうですよねえ。重さ100キロもあるスピーカー(2台)の搬入・搬出など準備万端を考えると、音楽会の開催はたいへんな負担になったはずで、これを契機に販路の拡大を祈ってます~。
それはそれとして、ふと、我が家の「AXIOM80」をこの広い会場に持ち込んで「ハイレゾ」を聴いたらどういう音がするんだろうと思った。
もしかして「天国的な音」で「至上の音楽」が聴けるかもねえ(笑)。