昨日、7月24日(火)の7時35分ごろ、ちょうど朝食中だったがテレビ(NHK)で臨時ニュースのお知らせ。こんなに朝早くからどんな重大事件が勃発したのだろうと、思わず箸を止めて画面に見入ると「イチローがトレードでヤンキースへ」の字幕。
ホー、これには驚いた。「イチローがヤンキースにねえ」。「昨日の敵は今日の友」ではないが、選手の移動についてきわめてドライとされるMLBならではの”いきなり”の出来事だが、イチローはスター選手なので球団(マリナーズ)との契約条項に当然、トレードの相手球団に対する拒否権が入っているから、最終的には「ヤンキースでOK」したのだろうと、思っていたが、ネットによるとチームの若返りのために自ら希望したトレードだったとある。
将来、MLBの野球殿堂入りが確実とされるイチローも昨年あたりから、ようやく衰えが目立ちだしたが、気分転換も含めてこの際マリナーズを離れるのも丁度いい潮時。もう一花咲かせてほしい気もするが、すんなりヤンキースのチームカラーに溶け込めるのか一抹の不安を抱かせる。弱小球団でこれまでのように”お山の大将”的な誤解を生む言動を続けていたら、浮いた存在になること間違いなし。
一方、「レイズ」にシーズン途中に入団したMLB在籍10年目の松井は、打率が1割5分前後と低迷が続いている。あれほどの選手がみるも無残な貧打ぶり。どうやらシーズン途中での解雇は時間の問題となってきた。松井の落ちぶれた姿だけは見たくなかったのに、残念。
※ 現実にレイズは25日(日本時間26日未明)、松井に対して「戦力外通告」を行った。
こうなると結果論だがなぜ、昨シーズン限りで引退しなかったのだろうかと思いたくなる。MLBは10年在籍すると引退後の身分保障とともに年金などが満額支給となるが、そのためにわざわざ1年粘ったのではないかと、痛くもない腹を探られることになる。
しかし、プロ野球選手ほど引退時期の選択が難しい職業もないかもしれない。
868本の本塁打記録を持つ日本のホームラン王「王 貞治」さんはいまだに「引退時期を誤った」と著書の中で悔やんでいる。バッティングの迷いからきた一時の不調を肉体的な衰えから来る不調と勘違いしたそうで、もっと現役を続けていたらホームランの数も軽く1000本いけたのにと後悔している。
マウンドから投げるピッチャーの球が打者の手元に届くまでの時間は、球速150Km/hのときにたったの0.41秒だから、瞬間的な判断力が求められる困難さからして、一流選手でさえも不調時の原因を明らかにするのは難しいのだろう。
「引退の潮時」といえば、「潔さ」ですぐに思い浮かぶのがジャズメンの「ジョン・コルトレーン」や「ビル・エヴァンス」たち。彼らは病気になっても治療に専念することなく、もう弾けないと分かるとあっけなくあの世に行ってしまった。まさに「プレイできなければ死んだ方がまし」といわんばかりで、自己陶酔型の彼らはプレイそのものが命だった。
「大衆に夢を売る職業」の持ち主だった人たちは人前で老醜をさらさないためにも”すべからく”そうあって欲しい気がする。
もちろん「死んでくれ」とまでは言わないが、持ち前の芸で身を立てられなくなったら、せめてひっそりとした隠遁生活を送って欲しいものだが。