「音楽&オーディオ」の小部屋

クラシック・オーディオ歴40年以上・・身の回りの出来事を織り交ぜて書き記したブログです。

オーディオ談義~「いい音」と「魅力的な音」の違い~

2012年04月17日 | オーディオ談義

「あの人は”いい人”なんだけど、人間的な魅力となるとイマイチなんだよねえ」という言葉を聞いたことがあったり、実際に思ったことがある人は結構多いのではあるまいか。

ちなみに役人の世界では「いい人」とは仕事ができない人間を指し、「あいつはワルだ」は最高の褒め言葉で仕事ができる人間であることを意味する。

一般的に”いい人”のイメージとは、どこといって欠点もなく他人に危害を加える恐れもないかわりに、それかといって取り立ててアピール力がないようなタイプで、一方、魅力がある人の場合は欠点もいろいろある代わりに、それを補って余りあるような長所があるタイプだろう。

広辞苑では「魅力」のことを「人の心を引きつける力」とあるが、やはり「いい人」と言われるよりは「魅力的な人」と呼ばれたいものだ。

オーディオの世界でも同じことが言えるように思う。

「いい音なんだけど、どうもいまいち魅力が足りないんだよねえ」というケースがよくある。これは不特定多数向けに製作された市販品に多いような気がするが、冒険が嫌いで無難なタイプを選ぶのが好きな人なら、それはそれで、良しとすべき。

代わって「オーディオ装置のスイッチを入れる度に胸がわくわくするような音」を出すケースは、一歩間違えると波乱万丈の世界といってもいいが、自分は完全にこのタイプに当てはまる。

日常の生活スタイルでは完全に無難なタイプを自覚しているものの、その反動で「せめてオーデイオぐらいは波乱万丈に」という思いが心の中のどこかにあるのかもしれない。

無難なタイプであれば、「いい音」とされているタンノイ・ウェストミンスターからオリジナルユニットを取り外し、他のメーカーのユニットを取り付けるようなバカな真似はしないはず。

つい最近、知人から譲り受けた「Axiom301」のSPユニットを鳴らし始めてからおよそ1週間、つくづく以上のような思いを抱いている。

このSPユニットを鳴らし始めたときは、それほどでもなかったが、毎日10時間以上鳴らし始めて3~4日目あたりから随分、音がこなれてきた。それは、それは、もう聴き違えるほど。

思わず”うっとり”するような音で、とりわけ、中高域部分の分解能は言うに及ばず、繊細さと抜けが素晴らしい。こういう音なら多少の欠点は目を瞑っても十分に許される。これからずっと、こういう音を楽しめるのかと思うと、まったく言うことなしだが、「Axiom80」の霊域にはまだまだ道は遠い!

しかし、ここに至るまでに取り組んだ対策もバカにならない。

以下、参考までに列挙してみると。

1 駆動するアンプの真空管の交換

現在使用しているアンプは「VV52B」というチェコ製の近代管(三極管シングル)を使用している。

                     

初段の電圧増幅管(ちなみに2段目はML4)に使っていたミニチュア管の12AU7(ヨーロッパの呼称ではECC82)の銘柄をいろいろ取り替えて実験してみた。ポピュラーな球なので比較的手に入りやすいので助かる。

ムラード、シーメンス、東芝、フィリップス、ラックス、テレフンケン(ダイアマークあり)、RCA(クリアトップ)

その結果「RCA(クリアトップ」がダントツだった。まったく音楽の表情が一変するほどで、豊かに、そして抜けが極めて良くなる。たかが初段のミニチュア管なのにこんなに変わるなんて信じられないほどで、やはり真空管アンプは球一つで様変わりする恐ろしい世界であると痛感した。

それだけ、「Axiom301」が極めてセンシティブで、微妙な違いを明確に出すことは言うまでもない。ただし、全体的に使っている機器との相性があるので、あくまでも我が家のシステムではという限定つき。どうか真に受けないように。

2 バッファーアンプのコンデンサーと真空管の交換

今回のシステムではプリアンプの代わりに特注のバッファーアンプ(ボリュームなし)をDAコンバーターとパワーアンプの間に挿入している。

                     

このアンプも真空管式の特注品だが、音質を左右する箇所のコンデンサーの使用にあたっては特にこだわりを持って、「マイカコンデンサー」が使えるようにわざわざ配線を外に引っ張り出してもらっている。

普通のコンデンサーと比べてこの「マイカコンデンサー」を使うと「音の抜け」が極めて良くなるのでこればかりは絶対に手放せない。

このマイカコンデンサーの値は「0.075μF」だが、今回はフルレンジ用(Axiom301)に使うので、中低音域の補強用として奈良のMさんのアドバイスにより同じ仕様のものをもう1セット購入してパラで接続してみたところ、全体がみるみる豊かになってうれしい悲鳴。完全にこれで決まり~。

同時に使用している真空管の「6FQ7」もいろいろ交換して試聴してみた。

RCA:6GU7,GE:6FQ7,エレハモ:6CG7,東芝:6CG7,RCA:6FQ7(クリアトップ)

ここでもやはりRCAのクリアトップが一番相性が良かった。「クリアトップ」は値段が少々高いけど性能は定評があるだけのことはある。

と、まあ、手を変え品を変えいろいろやってみた結果、現在は手放しで万歳の心境だが、こういう面白みはトランジスターアンプでは絶対に味わえないので、多くの選択肢が許された真空管アンプならではの楽しみ方である。

 


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