前回のブログの続きです。
千葉県にお住いのSさんから「Axiom301」を譲っていただくという話だが、「果報は寝て待て」とばかり逸る気持ちをぐっと抑えて待っていたところ、早くも7日(土)の午後2時ごろにいきなり到着してうれしい悲鳴。
すぐに、梱包を解いて取り出したところ想像以上にどっしり重くて大きなユニットに驚いた。公称では口径12インチで、実寸は31.5cm。
Sさんの話によると20年間もオフィスの納戸にしまってあったとかで、湿気のために程度が悪いとご謙遜されていたが、何の、何の、極上の状態でいうことなし。
こんなに立派なユニットをあっさり譲っていただいて、ほんとうにいいのだろうかと少し気が引けるが、いずれきっちりと穴埋めをさせていただくとして、いったいどういう音がするんだろうと期待感の方が先行する。
念のため、真空管アンプ(WE300Bシングル)で、出力テストをしたところ2本ともまったく不具合無し。能率がいいので小出力の真空管アンプで十分いけそうだし、インピーダンスが8Ωと通常の値なので出力トランスの端子の接続変更をしなくていいのも大いに助かる。
問題はどういうエンクロージャーに容れるかである。再生装置で最も困難な問題の一つとされているのは低音域をいかに完全に能率よく再生させるかにあり、この問題を解決するうえで重要な役割を果たすのがエンクロージャーである。
どんなユニットにしろ無限大の壁バッフルが一番いいに決まっているが、現在の部屋の状況ではとても無理なので、次善の策として何らかのエンクロージャーを見繕う必要がある。
参考のため、ネットオークションを覗いてみるとタイミングよく「タンノイⅢLZ・イン・キャビネット」が出品されていた。ただし、ユニット(HPD295=12インチだからAxiom301と寸法がピッタリ)が修復不可能のボロボロ状態で、純粋にエンクロージャーだけの値段になるが、その時点では入札価格が15,000円前後だった。
よし、このくらいの価格なら手が出せそうとすぐに20,000円で入札に参加したが、「あなたが最高価格です」に気を良くしたものの、何と半日もしない間に追い越されて入札価格がグングン伸びていく。
まるで天井知らずの様相で、おそらく想像だが「ⅢLZ」を国産箱に容れて楽しんでいる方が、この際とばかり何とかオリジナルのエンクロージャーに収めようと応募されているのだろう。
改めて、「ⅢLZ」の人気に驚いたが、タンノイに限らずSPユニットはエンクロージャー次第で音がすっかり変わるのでその気持ちはよく分かる。
こういう上昇気流の展開では、とても自分には落札の目はないとあっさり諦めがついた。また、このエンクロージャーのサランネットの材質がどうも目の詰まったビニールみたいな感覚で腑に落ちなかったのも回避した要因の一つ。ずっと以前に使っていた時からそうだった。
結局、このエンクロージャーの落札時の価格は84,000円(4月5日23時6分終了、入札参加61件)だったが、個人的には、実力よりもむしろタンノイの「ブランド価値」の方がかなりの割合を占めているような気がしているが、どうだろうか。
こういうわけで、いよいよ「Axiom301」用のエンクロージャーを自作する決心に弾みがついた。
吸音材として使用する予定の小分けした木綿袋入りの羽毛はたっぷりと保管してあるし、あとは木材(今のところパインを考えている)を購入してカットしてもらうだけだが、エンクロージャー内部の定在波を防ぐために箱形ではなくて菱形にしたいのはやまやまだが工作が難しそう。
また、大きさを「ⅢLZ」並みにすると、その寸法は幅38cm×高さ58.3cm×奥行き24cm。
我が家の第三システムとして使うので、スペースからしてこのくらいの大きさがもう限界だろう。