「音楽&オーディオ」の小部屋

クラシック・オーディオ歴40年以上・・身の回りの出来事を織り交ぜて書き記したブログです。

オーディオ談義~真空管アンプ~

2007年10月23日 | オーディオ談義

現在使っている3台の真空管アンプのうち中域(JBL375ドライバー)用のアンプの真空管PX25(イギリス製、約50年前の製品)の調子がどうもおかしい。2本のうち片方の1本が出力が低下しており、左右のバランスがうまく取れない。

仕方なく2本とも仕舞いこんで、ストックしていた2本を引っ張り出して新たにソケットに差し込んでみたところ、最初の4時間程度は良かったが、次の日電源を入れたら片方の真空管がピンク色になってウンともスンともいわなくなった。新品なのにもう使い物にならない。製造が古い真空管はこれだから怖い。2本セット16万円で購入したので一瞬のうちに8万円がパーとなってしまった。

こういうことはよくあるようで、そっくり似た事例が、先日オークションで出品されていたPX25アンプの説明記事に記載されていた。この方の場合は有名ショップで測定データが箱に貼ってあるもの4本のうち3本がダメになったとのことで、泣き寝入りになったとのこと。(因みに自分も有名ショップで測定データ付で購入。)

古典菅を購入するときは、1週間程度使用して異常が生じたら返品できるように販売元と保証を交わしておくことが大切だと身に沁みて分かった。

まったく、真空管は手間が掛かって世話がやける代物。しかも、トランジスターと比べて物理特性もさほどではなく、そのうえ寿命も短いので常にスペアを準備しておかねばならない。しかし音質に独特の艶と潤いと明瞭さがあり、欠点を補って余りあるので使っている。何といっても我が家の装置の音決めをしているのは真空管アンプ!

もちろん、真空管にもいろんな種類があって音色も違うし寿命にも大きなバラツキがある。さらに、同じ型番の真空管でもメーカーによっても差がある。

寿命が長くて音質もいいということで真空管の王者として昔から君臨しているのはもちろんウェスタン社のWE300B。一時製造が中断されていたものの近年の真空管ブームに乗って再開されたが、現在のものはペアで約8万円前後(ネット上)だが、これが1950年代製造のオールドものになると、戦争に実用されていた名残もあって入念に作られた高信頼菅(なにせ人の命がかかっている!)ということで20万円以上。しかし、これが実は音質もよくて一番安上がり。

この300Bオールドは20年使っても劣化しないといわれている。つまり極論すると無限の寿命といってもよい。とりあえずこの時点で1年当たりに換算するとわずか1万円となる。

拙宅の300Bオールドも生産後50年以上経過しているが、使い始めの時点で中古品(三重県のWEC・5さんから購入)だったにもかかわらず、以後約10年間ほとんど毎日使っているがビクともしないので驚いている。

これがあえて国名を外すが近年のアジア製の300Bになるとペアで3万円前後だが1~3年前後で劣化するとなると1年当たりに換算すると同じ1万円。しかも音質には明らかに差がある。どちらが得かは明らかだろう。

マッキントッシュの有名なMC275アンプに使用されているKT88(4本)もたしかに音質は迫力があっていいのだが毎日使った場合、約2年ほどで劣化するそうで不経済なことこのうえない。

これから新たに真空管アンプに挑戦する方がもしいるとすれば、WE300Bアンプにしておくのが、あとあとスペア菅の入手などいろんな意味で無難だし音質もよくお薦めである。

ただし、オーディオの常道としては、まず好みのスピーカーを設置し、次にその駆動に適したアンプを選ぶのが順番だろう。真空管アンプは出力があまり出ないので、使用しているスピーカーの能率が低い時には不適である。

あるオーディオ誌に、アンプは人間にたとえれば性格とか精神性とかの内面を映し出し、スピーカーは容姿などの外見を表わすとあった。

オーディオの華としてどうしてもスピーカーに目がいきがちだがアンプの存在も縁の下の力持ちでどっこい無視できない。スピーカーを生かすも殺すもアンプ次第というわけ。

どうも、真空管アンプ礼賛に傾いてしまったが、最近お会いしたAさんからデジタル・アンプの性能が随分良くなってきているとの情報をもらった。

考えてみると今の若い人が使っているのは、デジタル・アンプが主流であり、少なくともトランジスター・アンプまでが一般的で真空管アンプとはまるっきり縁遠いはず。デジタル・アンプなどは頑迷固陋の一部のマニア(自分を含めて)だけが安かろう悪かろうの先入観のもとに聴かず(?)嫌いだけなのかもしれない。

デジタル技術は日進月歩なので、性能対価格比の面で常に注目しておくべきで、ヤマハ、オンキョーなどからいい製品が出されているそうで、機会があれば試聴してみたいと思っている。

ただし、心配なのは2点あって、
技術と音楽性のバランス
あまりに性能が良すぎてスピーカーの能力が追いついていけるかということ。少なくとも、磁石の原理で紙を振動させるスピーカーの原理は大昔から変化していないので最新の高度なデジタル技術とのマッチングがうまくいくのかどうか、その辺がやや気にかかるところ。

                  
                                        PX25(左)とWE300Bアンプ


 


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