アメリカのペロシ米下院議長宅が襲われ、夫がけがをしたニュースが流れた。
このニュースを聞いて、私は「ピザゲート」事件を思い出した。
ネットは「フェイクニュース」が瞬く間に広がり、「陰謀論」も大きな力を発揮する。
「ピザゲート」事件は、2016年のアメリカ大統領選挙に関連して起きた銃撃事件のことだ。
ヒラリークリントン支持者のピザ店の店長が児童買春組織の拠点となっているというフェイクニュースが流れ、陰謀論と相まって、さらにこの噂をトルコの親政府メディアが取り上げたことで、さらに拡散していった。
SNSのフェイクニュースに影響を受けて、ピザ店の民主党運動員による「児童買春は許せない」と銃をもって乗り込み撃ったという事件。さいわいケガ人は出なかったが、フェイクニュース、陰謀論が、実際に人を動かし重大な傷害事件を起こした。
ミャンマーのロヒンギャ虐殺事件もネットのフェイスブックによるデマの広がり、流言飛語によって住民が扇動されてしまったという事件もある。
今回のペロシ米下院議長を襲った事件も類似性が見られる。
SNSは、事実の裏付けのないフェイクニュースが瞬く間に広がる。巨大な「井戸端会議」の側面がある。
ネットの負の側面だ。
日本ではヤフーニュースのコメント欄の改善が、ようやく行われ始めた。
巨大掲示板とともに、ニュースのコメント欄もフェイクを煽る危険がある。
ネットの自由で民主的な発展をどうするか。
課題はあまりにも多い。
追記
確率的テロリズム(stochastic terrorism)
著名人に対して、ネット上で繰り返すヘイトスピーチや仮定の話を見聞きするうちに暴力に駆り立てられるというもの。
いわゆるテロのリスクの確率を高めるもの。
以下、しんぶん赤旗より抜粋
現場で逮捕されたこの男はトランプ前大統領の支持者。カルト運動「Qアノン」がネット上に書き込む「悪魔的な小児性愛症者(による政治支配)」などの陰謀論をうのみにしていました。
米国では政治指導者に対する脅迫が増えています。米議会警察によると、議員に対する「懸念すべき言明や脅迫」の件数は2017年の3939件か、2021年は9625件に急増しています。
以上
米国は銃社会だ。
ネットの、サイバー空間の膨大なフェイクニュースが、暴力を増幅する危険な社会になりつつある。