日本語は婉曲表現を好みます。はっきり言うのを避けるんですね。
「~おそれがある」もその一つです。「~(のような悪いことが起こる)かもしれない」という意味です。ニュースや,商品や製品の表示によく使われます。
日本語の授業で,よく「タバコ」のパッケージに使われていると説明するのですが,久しぶりにタバコを見てびっくり!「~おそれがある」ではなくて,はっきりと書いてあります。
例1
表:喫煙は,あなたにとって肺がんの原因の一つとなります。疫学的な推計によると,喫煙者は肺がんにより死亡する危険性が非喫煙者に比べて約2倍から4倍高くなります。
裏:妊娠中の喫煙は,胎児の発育障害や早産の原因の一つとなります。
例2
表:喫煙は,あなたにとって心筋梗塞の危険性を高めます。疫学的な推計によると,喫煙者は心筋梗塞により死亡する危険性が非喫煙者に比べて約1.7倍高くなります。
裏:たばこの煙は,あなたの周りの人,特に乳幼児,子供,お年寄りなどの健康に悪影響を及ぼします。喫煙の際には,周りの人の迷惑にならないように注意しましょう。
すべて断定表現,しかも,実証的な数値で具体的にどれぐらい危険かも示してあります。(データのもとは厚生労働省のホーム・ページ参照)
そういえば,いつだったか,曖昧な表現が問題になったことがあったような…。タバコの害は明らかなのに,「~おそれがある」という表現は不適切であると。
早速,調べなければ。それに,日本語の授業での説明の仕方も変えなければ。