呑む気オヤジ/蔵王山麓蓬莱庵便り

蔵王山麓暮らしのオヤジの日記。合唱も映画もドライブも温泉も、たまには俳句も・・・😄

呑む気父さんの読書感想文・その26 「小さき者へ」

2006-07-14 | 本の話
小さき者へ

新潮社

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♪「小さき者へ」重松清著 新潮文庫
二番煎じどころか、三番煎じ、四番煎じの「重松」チックな話しだ。でも、泣ける。悔しいね。
息子の煮え切らない態度やよわっちぃところが、情けなくて仕方がない父親のやるせなさを描いた「海まで」。学校で同級生に暴力を振るい、家では自分の部屋に引籠もる中学生の息子に、結局何も言えず手紙を書き綴る自分の不甲斐なさに苛立だつ父親を描いた「小さき者へ」。この二つの話しは秀作だ。泣けるね。
前から重松清の本は、親子や夫婦間の葛藤を描いて、心に迫るものがふんだんにあるのだが、その問題に関する解答は一切ない。そこに多少の不満を持っていたら、読者はみな同じなんだね。重松自身も、本書の後書きでそのことに触れている。

『「問題が何も解決していないじゃないか」と叱られることの多い僕のお話しの中でも、本書の六編はとりわけ「解決しなさかげん」が際立つものとなった・・・。』

しばらく前の新聞でも、そのことについて自身で触れている。その要旨は、「親子や夫婦の問題を他人の自分が解決するなんて、おこがましい。そんなに簡単なことではない。ただ世の中には同じ悩みを持った仲間がそれこそたくさんいることを分かって欲しかった。」というもの。(記事が手元にないので不確か)
そうなんだよね。確かに作者なりの解決策を本に求めても、多分ほとんど役に立たないんだな。世の親の悩みには、星の数ほどいろいろあるんだろう。
それに答えを出すのは到底無理な話だ。悩みを共感、共有することで、少し安心したり気が楽になったりするのかな。

ところで!話しは全く違うんだけれど、この本の解説はなんと15歳の「華恵」さんが書いている。モデルで小説も書き、TVにも出ているらしい。小学生の頃から重松のファンだって。女の子はすごい!男の子は、ダメだな!
コメント
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