西村一朗の地域居住談義

住居・住環境の工夫や課題そして興味あることの談義

新井 満さんの自由訳イマジン(2)対談オノ・ヨーコ×新井 満

2006-08-24 | 生活・空間・芸術と俳句・川柳・短歌・詩
次に、対談オノ・ヨーコ×新井 満を読んだ。ニューヨークの現在オノ・ヨーコさんの住むセントラルパークに面するダコタ・ハウスでの2006年5月8日の対談だ。この対談には「東と西が出会いひとつになった時、「イマジン」は生まれた」とある。「東」とはオノ・ヨーコのことであり「西」とはジョン・レノンのことである。
この対談での二人の言葉で心に響いたものをピックアップしてみよう。

オノ「イマジン」の歌詞は非常にソフトな言い方をしているのが特徴なんですね。例えば、「Imagine all the people living life in peace」という部分だって「想像してごらん」って言っているわけでしょう。「みんなが平和に暮らせる世界になるんだよ」とか「平和に暮らせる世界を作らなきゃいけない」と言っているわけでもないし、逆に「そんなことは起こらない」と言ってるわけでもないんです。
新井「男性原理で作詞するとどうしても、「平和を勝ち取ろう!」と拳を突き上げるような言い回しになるんですよ。それに対して「イマジン」は女性原理と言いますか、耳元でささやくように、優しく語りかける。そうやって「いつか平和を実現しよう」という提案ですね。・・・

新井「さいたま市にある「ジョン・レノン・ミュージアム」のプログラムの巻頭で、オノさんが19世紀末のイギリスの詩人、キップリングの詩を紹介していらっしゃるじゃないですか。あれは非常に感動的な言葉ですね」
オノ「「East is East,West is West」」
新井「ええ。東は東、西は西。その二つは永久に会えないんだ、と。」
オノ「世界中がその部分だけに注目したことがあると思うんです。」
新井「大問題ですね。そのすぐ後に「しかし、たとえ地の果ての両極から来たのであっても、二人の強い人間が対面した時には、東も西もないんだ。国境も、人種も、階級も・・・」と素晴らしい言葉がつづくのに。」

新井「日本文化の中ではひとつ、孔子原理と老子原理というのもあります。昼間は『論語』の孔子で、ネクタイ締めて出世や仕事のことばっかり考える。アフター・ファイブになると、老子なんですよ。もっとフリーになるんです。」
オノ「老子といえば、ジョンと老子の話をしたことがありますよ。ジョンは老子に似たタイプだと思うんです。「あなたはそういう人ね」って言うと、とても喜んでいました。」

オノ「窓を空に向って、宇宙に向って開けてあるということは非常に大事だと思うんですね。窓が閉まっている家じゃなくて。」
新井「オノさんのアートワークの中に、棺桶の中から樹木の生えている作品があるじゃないですか。あの作品を見るたびに”再生”ということを感じます。再生、つまり生まれ変わる。それは「イマジン」の世界にも通じることだと思うんですが。」
オノ「そうですね。私は「ヒール」、”癒し”ということを非常に重視してるんです。もうひとつ私のアートワークの特徴を挙げるなら、アートワークと私の人生に全然隔たりがないことですね。有名な仏教の仏師で、足を洗った器をきれいに洗って、同じ器でお米を研ぐ人がいたでしょう?私はアートというのは本来そういうものだと思うんです。」
新井「良寛さんのことですね。」

まあこの辺で引用は終わる。どうですか。(写真は、オノ・ヨーコとジョン・レノン)

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