西村一朗の地域居住談義

住居・住環境の工夫や課題そして興味あることの談義

津波対策の居住地二つの考え方

2011-05-01 | 地域居住学
東日本大震災の居住地再建で、大きくは恐らく二つの考え方があると思う。

一つは、大津波が多くを流し去ったことを目の前にして生き残った人たちは、再度そういう目に会わないように、より高い高台に住まいを求めようとするのではないか。

実際、過去の例で高台に移転していたため助かった地区もある。

しかし、そういう高台が簡単に得られないところに一つの難点がある。既に仮設住宅の建設用地選定において、苦労している。

また、元々の低地、海岸に近い所に居住していたのは漁港や農地など毎日のように働く場に近くて便利ということがあった。

だから、やはり元の低地近くに住まざるをえない、という割り切りもありうる。

ただ、その場合、少なくとも二つの条件が必要だろう。

一つは、津波が来た場合、即座に高台へ向けて逃げれるための体勢、ルートが整備され常日頃から訓練されることだ。もう一つは、逃げ遅れ対策として、低地の要所に津波に流されないような中層住宅(5階ほど、屋上もあり)や公共建築等を用意し、いざという時にそこに周りから逃げ込めるようにすることだ。

いずれにせよ、地域の状態を知悉している地域住民の要望を聞きながら早く計画を立てる必要があろう。