西村一朗の地域居住談義

住居・住環境の工夫や課題そして興味あることの談義

映画「おくりびと」を見に行く

2009-03-12 | 生活描写と読書・観劇等の文化
今日の午後、映画「おくりびと」を見に行った。まあ、アメリカでの映画のアカデミー賞を獲得した話題性のある日本映画である。リアルな人生を終わって「あの世」に旅立つ「姿」を整えるのが仕事の「納棺師」の物語である。

私は、母方祖父、母、母方祖母、父を見送ったが、「納棺師」がいた記憶がない。地方によって、納棺儀式が違うためであろうか。今日の映画の現場は山形県の庄内地方、酒田であろうか。

この映画を見ながら「おくりびと」がアメリカ人に受けた理由として三つが頭に浮かんだ。

第一は、日本人にも、はっきりと認識されていない「納棺師」の役割、所作をはっきりと描き出したことである。

第二は、日本でも東京や京都ではなく田舎の秋田の風景を背景にしたことである。白雪の山や鮭が上ってくる川、色んな石のある河原、ひなびた街並みが良い。

第三は、主人公が弾くチェロの曲など西洋音楽がバックにあることである。単に日本の文化や風景を描くだけでは「エキゾシズム」に留まるかもしれない。そこに、
・「Symphony No9」L.v.Beethoven、・「Wiegenlied」J.Brahms、・「Ave Maria」J.S.Bach/C.Gounodなどが流れることによって、それらの音楽を生み出したヨーロッパが故郷のアメリカ白人に受けたのではなかろうか。

それは、同時に「日本文化は、西洋文化の教養も背景にしているよ」、「貴方たちとも共通項があるよ」ということも言っている形となっている。

初めて知ったことに「石文(いしぶみ)」によるコミュニケーションがある。