ロッキングチェアに揺られて

再発乳がんとともに、心穏やかに潔く、精一杯生きる

2011.4.6 ハーセプチン133回目、ナベルビン11クール2回目、ゾメタ51回目

2011-04-06 21:15:18 | 治療日記
 新年度初の通院日。快晴で気持ちがよい日だった。マスクがなければもっと良いのだが。
 自宅の最寄駅では若干電車が遅れていたが、乗換駅で無事乗り継げ、いつも通りの時間に病院に入った。今日は特に採血もなく、そのまま内科受付へ。1時間ほど待って中待合に入り、診察室に入ったのはそれから15分ほどしてから。
 「先週はどうでしたか。」との問いに「やはり花粉症でした。」とお薬手帳をお見せして「これだけの薬を飲んでいます。血液検査の結果は週末なので、出たらお持ちします。」とご報告。また、先週はいつものようにお腹の気持ち悪さと火照りはあったが、それほど酷くはなかったこと、胸の痛みも重いものを持った後に気になる程度で、特に酷くなっていないことをお話しした。「今月からお達しにより、ハーセプチンを長期使用して経過が良好の患者さんには、1時間半で点滴するところ1時間で良い、ということになりました。」とのお話があった。30分の時間短縮は嬉しい。ロキソニンを処方して頂き、花粉症について薬の飲み合わせに問題がないことを確認する。「基本はアレグラと点眼・点鼻で、プラスアルファとして外出後目や鼻を水洗いすることで良いと思う、来年は症状が出る前に薬を飲みましょう。」とのことだった。

 化学療法室へ移動し、入り口の待合椅子で少し待ってから、一番ナースステーション寄りの窓際の点滴椅子に案内された。ベッドで針刺、今日はそれほど痛まずホッとする。
 フルコースの6本の点滴なので、やはり3時を回ることは確実。売店でお昼を調達した。お昼前に点滴開始。途中、アレルギーの薬のせいなのか、春眠暁を覚えずなのか、何度も眠くなってしまい、珍しく5回の点滴を変えて頂くタイミング中2回気付かずじまいだった。
 抜針も衝撃なく、無事終了した。点滴時間は3時間半弱。

 会計を済ませて病院を出る。川べりの桜並木が3分咲きくらい。週末雨が降らなければお花見には最高だろう、と思う。月曜日のCT検査で通院するのがちょっと楽しみだ。
 今日の病院滞在時間は6時間ほど。やはりハーセプチンで30分以上の短縮が効いている。これまでは1時間で160ml落としていたので1時間40分ほどかかっていたところ、今度は250ml1本が1時間で済むのだから。
 薬局に寄って、風はあったが暖かな日差しの中、家路についた。

 今日は点滴中にうとうと眠ってしまったので、2冊だけ読んだ。
 1冊目は矢義雄編「医の未来」(岩波新書)。
帯には「医学・医療の明日を切り開くために 理解と信頼、そして発展へ目指すべき未来をさぐる」とあった。15人のドクターによる「未来の医療と社会」「地球規模の医療」「未来の医学・医療」「生と医の未来」「対談 医の未来を語る」の5部だて。特に第3部の「未来の医学・医療」の第8章 中村祐輔先生の「ゲノムが医療を変える」では、ハーセプチンという分子標的治療薬の長くお世話になっている身、真剣に読んだ。第9章 垣添忠生先生の「がんに克つ」はもうそのものずばりで一気読み。第11章 大澤眞木子先生の「命を育む」では生命の神秘を感じるとともに、「親はピッチャーではなくキャッチャーであるべき」の項目で「お母さんが外で働いている場合、自分が子供の要求に24時間常に応じられる状況ではないことから、あらかじめ子どもに問いただしたり、支持したり、極端な場合は自分でやってしまうという高い緊張状態になりやすい。結果的に子供にとって家族・家庭が安らぎの場にならず、自主性が育たず、またもっと問題なのは自己評価が低くなる可能性がある。」にはとても反省させられた。

 2冊目は岩波明さんの「心に狂いが生じるときー精神科医の症例報告―」(新潮文庫)。
帯には「誰にも精神を患う可能性がある。アルコール依存、うつ病、人格障害から統合失調症まで、精神疾患の“現実”と“現在”」とある。裏表紙には「最初は心の小さな狂いでも、それをきっかけに、普通の人間が精神全体を蝕まれてしまうことがあり、ときどき取り返しのつかない行動をとることがある。しかし、正常な精神と狂気の境目はごく浅く、我々の社会は様々な精神疾患とともにある。人は、いつ、いかにして心を病むのか。現役の臨床医師が、虚脱を排して実態を報告する。」とあったが、まさにそのとおり。前作「狂気の偽装」も読んだが、相変わらず重い現実。それでも解説の豊田正義さんが書いておられる通り「著者の症例報告がふつうの無味乾燥なものと遥かに次元が異なるのは、患者たちの人生を描いている筆致の随所に“どんなに病に翻弄されようとあるいは周囲から無様に見られようと、理不尽とも思えるこの世界を生きていこうとする人間の力を感じることもできる”という人間観が溢れているからだろう。」に頷いた。


コメント (4)
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