今日もとてもいいお天気だった。青空の下、風が吹くと、たくさんの花びらが舞う。ちょっと手をかざせば花びらがすぐにひとひら乗ってくるほど。まさにこのブログのテンプレートのようだ。
この季節、必ず思い出し、人知れずこっそりと口ずさむのはこの曲だ。もう30年以上前のことなのだが、男声合唱っていいな、男子クラス羨ましい・・・と心底思ったのはこの曲を聴いてだった。
詩は草野心平さんのもの。多田武彦さん作曲の「男声合唱組曲・草野心平の詩から」の終曲、「Ⅴ.さくら散る」。
今日は久しぶりにYou Tubeで聴いて、あらためてしみじみと忘れかけていた雰囲気に浸ってしまった。もちろん今聞いても実に歌い手泣かせの難曲であることがよくわかる。
当時高校生だった私は、どのくらいこの曲の意味がわかっていただろうか。
もちろん高校生にとって「桜散る」って、良いイメージであるわけないし、ひたすら「まいおちる」が繰り返し繰り返し、そう、あたかも無数の花びらが舞い落ちていくさまを描くように歌われるので、いつしか「まいおちる」が「おちるまい」になって歌っていた・・・という、なんだか笑えない話も聞いた。
「さくら散る」
はながちる
はながちる
ちるちるおちるまいおちるおちるまいおちる
光と影がいりまじり
雪よりも
死よりもしずかにまいおちる
まいおちるおちるまいおちる
光と夢といりまじり
ガスライト色のちらちら影が
生まれては消え
はながちる
はながちる
東洋の時間のなかで
夢をおこし
夢をちらし
はながちる
はながちる
はながちるちる
ちるちるおちるまいおちるおちるまいおちる
こんなふうに30年も前のことを懐かしく愛おしく思い出すのは、息子がその年齢に近づき、これから青春の日々を送るのだな、と実感しているからかもしれない。
子育てをしながらこうして自分がもう一度青春をやり直させてもらえるような気分になれるのは、本当に有難いことだ、と思う。
自宅の上の階に住んでいたお嬢さんが結婚し、2月に男の子を出産された。彼女が中学生の頃に息子が生まれ、それ以来とても可愛がって頂いていた。心ばかりのお祝いを贈ったところ、先ほど写真入りのメッセージと内祝のお品が届いた。まさにお母さんそっくりな坊や。こうして彼女もお母さんになって命のリレーがされていき、お子さんが青春を迎える時には、今の私のようなこんな気持ちになるのかな、などと勝手に嬉しく思ってにんまりとしてしまった。