東京の土人形 今戸焼? 今戸人形? いまどき人形 つれづれ

昔あった東京の人形を東京の土で、、、、

招き猫貯金玉(あぶ惣風)

2020-08-10 04:08:50 | 仕事場(今戸焼 土人形 浅草 隅田川)
 
 今回はじめて作っている招き猫貯金玉(あぶ惣風)です。
 後ろに寺島風が見えますから、サイズや形の相似点と差異が比べることができるかと思います。
 この猫の表情も独特というか、脱力感というか…。斑は3箇所だけ。
この上にベタでニスが塗られているのがお手本ですが、どうなることやら…。

みみずく できました。

2020-08-09 22:32:38 | 仕事場(今戸焼 土人形 浅草 隅田川)
 
 みみずくできました。
今回は蘇芳(すおう)の塗り重ね、今まででいちばん念入りにしました。
というのも、今、コロナが本当に切実な問題で、もし願いをもってお求めくださる方々にできるだけの蘇芳の発色で病除けの役割を果たしてもらいたい…と思いをこめたかったので。赤なら泥絵具や顔料の赤系統のほうがはっきりした発色なんですが、やっぱり江戸時代の人々が願いをこめたかもしれない赤みにしたかったわけです。
 こればっかりは人それぞれのお好みがあるでしょうが…。

窯出し

2020-08-08 21:42:24 | 仕事場(今戸焼 土人形 浅草 隅田川)
 
 彩色中に同時進行に大急ぎで素焼きをしていました。
できたら今回の丸善で新登場に加えたい木型による招き猫と女の子の立ち姿です。窯の炉内温度が100℃を切ったので蓋を開けました。まだ彩色やりかけのがあってスペースが厳しいのでできて乾いたのを包んでダンボールに収納しながら、すすめていきます。

天神

2020-08-08 21:00:46 | 仕事場(今戸焼 土人形 浅草 隅田川)

 今戸の天神は天保年間以降の泥絵具による配色があって、袍は朱色、袴は群青、笏は黄色、袖の中側は緑というのが基本になっていたのかな?と思っていますが、数年前、はじめて日本民藝館展に出品した折に、植物の煮出し汁を中心にしたより古風なイメージの彩色で仕上げるようになりました。天神の割型か暫く行方不明になっていたので、今年になってみつかり、久しぶりに作っています。袍はキハダ(漢方薬の黃柏)の煮出し汁、台は蘇芳(すおう)の煮出し汁で重ね塗りしています。

みみずく ②

2020-08-07 23:03:23 | 仕事場(今戸焼 土人形 浅草 隅田川)

 昨日までキハダ(漢方薬の黃柏)の煮出し汁で下塗りした上に、蘇芳(すおう)の煮出し汁を重ねて塗ります。
 東北地方の三春張り子や堤系統の人形、花巻人形、相良人形などの江戸時代のものに蘇芳やキハダの煮出し汁が使われているのが有名ですが、今戸の人形にも使われていた時期があったのです。
 歌舞伎の舞台で血糊としても蘇芳が使われていたようですし、染織の色剤であったことは言うまでもありません。
 画像の蘇芳の発色まで同じところを6回重ねて塗りました。しんどいですが、昔の色に近づくための段取りです。

みみずく

2020-08-07 14:15:35 | 仕事場(今戸焼 土人形 浅草 隅田川)

 これは、今年のコロナを意識して新しく作ったものではなくて昨年のゴールデンウィークに駒場のべにや民藝店さんでやらせていただいた作品展の際新しく発表した人形です。不思議なことに、今年こういうことになって、世間では病除けのアマビエグッズがいろいろ出ているようですが、自分の場合、今戸焼の人形の古いものから病除けの人形を再現する範囲の中から謂れのあるものを作ることが大切と思ってみみずくを塗っているところです。都内の近世遺跡から出土した色のとれた人形をお手本としてモデリングし、みみずくの赤は顔料の赤系統ではなくて、植物の煮出し汁で色を発色させます。全体が黄色いのは下塗りとしてキハダ(漢方薬の黃柏)を煮出した汁を重ね塗りしているからです。
 このあと蘇芳(すおう)の煮出し汁をかさねて赤みをつけていきます。

丸〆猫(まるしめのねこ)ほか今戸の招き猫

2020-08-07 03:21:57 | 仕事場(今戸焼 土人形 浅草 隅田川)

 とりあえず来年の干支ものからの二種は催事向けにはできたのでブースに並べるべき人形を仕上げていきますが、初日までにどれだけ間に合わせることができるか…。
 丸〆猫(まるしめのねこ)の昭和戦前風型の朱色。ふと思い出したのですが、自分は昔に亡くなった人間だと思われているのだろうか?と思ったことが何度もありました。と、いうのはたまたま観たヤフオクなどで中古として拙作の丸〆猫が出品されていて、何でこんなに競るのだろう、今でもここで作っているのに…。といった感じでした。それと、以前A草のNみせのS6というお店へ頼まれて出していた時代がありますが、知らないうちにぱくられてほかの職人に作らせたものが並ぶようになったので辞めたのですが、ご注進してくれる人が教えてくださったことには、拙作の丸〆猫が、その店で¥7000弱もついていたというのでびっくりしました。普通なら拙作の丸〆猫ふたつ買ってお釣りがくる値段です。拙作のからぱくって作られている丸〆猫のその店の値段も、うちの丸〆猫を買ってお釣りがくるのですごいなと思いました。

 二枚目の画像は丸〆猫嘉永安政風と本丸〆猫です。よだれかけの縁にキハダ(黃柏)を煮出した汁で塗っているので時間がかかります。

 三枚目の画像は昭和戦前風の丸〆猫の色違いと尾張屋さん風の招き猫貯金玉、左招き猫の明治時代風、丸〆小判猫などです。

パニック状態

2020-08-04 14:56:57 | 仕事場(今戸焼 土人形 浅草 隅田川)

 今、慌てて午前中から深夜まで彩色に取り組んています。それぞれの人形に配色が決っていて、色を置く順番があり、ひとつの色ができるだけ同時にそれぞれに置いていけることが理想的な能率ですが、一度きに全部拡げることができないことが悩みの種です。






 実をいうと、これらの画像以外にも地塗りまですすみながら拡げられるのを待っている人形たちがかごの中にいます。
 一昨年までの会場内のうちのブースは大なり小なり下の画像のような感じでした。

今回もとりあえず画像のようなレイアウトを目指しますが、オープニングまで全てが揃うのは厳しいかもしれません。そこで、期間内にできあがったものを順次追加させてもらおうと考えています。
 3蜜云々心配されていますなか、今回お聞きした話なのですが、この時期外出を憚られる方々にも、主催者のブログ内の画像や動画を確認しながら、お買い物していただくシステムが検討されているそうです。もしそれが実現すれば、後から追加されて日々変わっていくブースの様子を画面越しにご覧いただき、会場へ足を運ばずともご購入いただける事も可能となるかもしれません。

干支の丑(牛)づくり 「寒紅の丑」

2020-08-01 20:06:24 | 仕事場(今戸焼 土人形 浅草 隅田川)

 「FANみそ!」展に間に合いそうな来年の干支ものをもう1種類。「寒紅の丑」です。小さなシンプルなものですが、今戸人形の牛としては古典的なものであり、愛好家のあいだでは知られたものです。

 昔、紅花で作られた紅は非常に高価なもので、紅花の生産地だった山形の村山地方は紅花の生産によって富をもたらした富豪の蔵がならんでいたようです。紅は口紅にもなりますが、高級な染料として紅花染もあったものの身に付けることができたのは、限られた上流階級の女性に限られていたようです。
 紅は化粧品である以前に薬で健康を支える貴重なものだったようです。
紅屋という商いがあって、寒の日に作られた紅はことさら薬効があり、商機としても特別な時期だったそうで、寒紅を買うとオマケとして、このような今戸焼で作られた素焼きの牛が付けられたというのです。

 戦前の有坂与太郎の著作の中に記されていますが、小町紅本舗羽根田という紅屋が、今戸長昌寺門前で清川玉姫稲荷境内の口入稲荷から授与された狐や鉄砲狐、おはらごもりの狐、貯金玉、などを芋屋渡世の傍ら作っていた鈴木たつに紅丑を作らせ、寒紅の景品としてだしていたということです。
 今の感覚からすれば、縁起物にしてもこういうものが、景品として販売促進のためのノベルティグッズとして値打ちがあったというのが不思議でそうした事実があったことは楽しいと思います。

 伝世するものには同じ形で金色と黒のものが見られ、古物屋の蔵出しなどで出てくるもの必ずしも金色と黒で一対であっのかどうかわかりません。但しふたつでセットになっていたほうが、彩りとしてマシなので、ふたつで組にしてならべます。あんまりシンプル過ぎてつくる立場でもつかみどころがいまひとつな感じがしますが、こういうものがかつて今戸で作られていたということへの記憶につながれば楽しいです。

干支の丑(牛)づくり 「お福牛」

2020-08-01 20:06:24 | 仕事場(今戸焼 土人形 浅草 隅田川)

 8月に入りました。天気が急に良くなった感がありますが、外出時のマスク着用もあり、夏の開放感というものがなく、サバイバルな感じばかりの変な夏だと思います。
 例年に比べると早いかもしれませんが、先にお知らせした丸の内丸善オアゾでの「FANみそ!」展が予定されているのに合わせ、今から出せる来年の干支ものも支度しておきたいと考えています。

 そのひとつが「お福牛」です。12年前の丑年に原型を創作的に起こしました。
とはいえ、今戸人形の福助とお福は、古典的な型で天保年間に描かれた当時の人形玩具の彩色見本帳である「玩具聚図」(人形は顔がいのちの浅草橋の吉徳さんに伝わっています)の中にも描かれていますし、福助は落語「今戸焼」のサゲにも登場します。

 お福の姿に牛の顔を抱き合わせることで、歌舞伎の古典的演出のひとつ「悪身(わりみ)」…男が振りとして女性の所作をするおかしみ。…的なおかしさをねらったのですが、当時散々に言う人、「眺めているだけで笑いがこみ上げてくる」と言ってくださる方もいらしたので、好みの問題ではありますが、久しぶりにわくわくしながら作っているところです。
 「お福牛とかけて何と解く?」「そのココロは角を隠します」なんて謎掛けをある玩具店の旦那さんとやったのを思い出しました。
 まだ途中ですが、できたところでまたアップしたいと思います。