生き生き箕面通信

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1999 ・「富裕層に国際協調で累進課税を」と、ピケティさん(新しい資本論の著者)

2014-06-14 08:51:57 | 政治

お早うございます。
生き生き箕面通信1999(140615)をお届けします。

・「富裕層に国際協調でて累進課税を」と、ピケティさん(新しい資本論の著者)

 「新しい資本論」という本がアメリカやヨーロッパでベストセラーになっているそうです。朝日新聞が本日6月15日の朝刊(15面、オピニオンのページ)で、著者のトマ・ピケティさんにインタビューしていました。

 その記事のキモは、世界の不平等問題、つまり世界中で格差が拡大している現状を分析し、その処方箋として「富裕層への累進課税が決め手。これを実施するには、国際協調が必要だ」と主張している点です。

 例えば日本だけが金持ちに高い累進課税をかけると、金持ちは課税が低い国に逃げ出します。だから、国際協調して、アメリカもイギリスも、フランス、ドイツなどはもちろん、世界中の国が、金持ちにはそれ相応の税金を納めてもらう制度にする必要があるという提言です。

 世界の格差を解消するためには、富裕層に対する累進課税の実施、つまり「グローバル税制」という思想です。

 ピケティさんは、市場に任せておけばすべてうまくいくという「市場原理主義」を否定しているのです。原文はフランス語で書かれたものですが、格差が激しいアメリカで読まれています。

 マルクスの資本論は、剰余価値などの概念が難しく、出版当初はまったく注目されませんでした。それを親友のエンゲルスらが懸命に「優れた本だ」という書評を多くの出版社に送る努力をしたのすえ、徐々に日の目を見るようになったといういきさつがあります。

 ピケティさんの「新資本論」は、英訳本で600ページにおよぶ大著ですが、ノーベル賞経済学者のクルーグマン氏が書評で絶賛し、多く読まれるようになりました。日本語版は未刊行です。

 ピケティさんによると、「大きな資産を持つ富裕層は、高い収益が見込まれる投資ができる機会が多い。その資産は親から子へ引き継がれる『世襲資本主義』によって、さらに拡大する」と指摘しています。

 北朝鮮は一国の指導者が「世襲制」だと軽蔑しますが、日本の支配層にも世襲制がはびこっているといっても過言ではありません。安倍首相は、祖父の岸信介・元首相、父親の安倍晋太郎氏は外相や通産省、内閣官房長官を務め、有力な首相候補でした。

 それはともかく、ピケティさんは、過去300年にわたる米欧での租税資料を分析し、その結果から、「格差是正には累課税しかない」という結論に達しました。

 マルクスは、資本家と労働者の摩擦が激しくなり、階級闘争が革命に発展するのは歴史の必然としました。しかし、現代は富裕層と待たざる者との格差がこれほどまで酷くなってきても、革命に進む兆候は見えません。

 しかし、「万国の労働者、団結せよ」は、今も生きています。団結して、国連を通じて、あるいは他の国際機関を通じてでも、グローバル累進課税を実現すべきです。

 日本では、安倍政権が「法人税を20%代まで引き下げる」という内容を、骨太と名付けて成長政策に盛り込もうとしています。これは、金持ちはより金持ちに、持たざる者はより貧しくする政策です。

 それでも、日本人はおとなしくアベノミクスを支持しているようです。