生き生き箕面通信

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1993 ・民主主義を守るために闘った台湾の学生たちの「ヒマワリ運動」

2014-06-08 09:18:11 | 政治

おはようございます。
生き生き箕面通信1993(140608)をお届けします。

・民主主義を守るために闘った台湾の学生たちの「ヒマワリ運動」

 議会の周囲を取り巻く座り込みの学生たちに対し、激しい放水攻撃で排除しようとする警官隊。ごぼう抜きも。

 NHKのBS1が6月4日に放映したドキュメンタリー「議会占拠 24日間の記録~中台急接近に揺れる台湾」は、こういってはなんですが、さすがNHKといえる素晴しい内容でした。

 学生たちの動きに火がついた発端は、「中台サービス貿易協定」の締結をめざす馬英九政権が、野党の追及を打ち切り、強引に採決したことでした。

 この協定が実際に動き出すと、中国の巨大資本が採算無視で台湾に上陸してくることも予想され、台湾側の例えば美容院や食料品店など中小零細規模の経営は駆逐されてしまうという自国経済の問題があります。

 それにもまして学生たちが問題にしたのは、政権側が「強硬採決」という形でことを進めようとしたことです。民主主義の危機ととらえたのでした。

 強固採決が行われたあとの今年3月18日、学生たちが議会(立法院)に突入し、議場を占拠したままバリケードを築いて立てこもった。

 馬総統は学生たちの行動を強く非難、「中国と経済関係を強める以外に台湾の未来はない。選択肢はほかにない」と強調しました。それを聞いた学生たちは、今度は馬総統がいる行政院を取り囲んで座り込み。

 これに対し、警官隊を動員して、座り込み学生に激しい放水を浴びせ、ごぼう抜きで排除したのでした。この間、学生たちは「非暴力」を貫き、整然と行動しました。

 こう着状態の中で、王金平・立法院議長が、「議会にしっかりしたチェック機構が設置されない限り、審議は再開しない」という仲裁案を提案。

 学生たちは疲れもあるなかで、仲裁案を受け入れるかどうか、意見が大きく割れた。そのとき、一人の学生が立ちあがって意見を求め、「幹部だけで撤退するかどうかを決めるのには納得できません」と発言。

 これを受けて、学生たちのリーダー、林飛帆さんは、まる一日かけて学生たちの意見を聞いて回り、その結果、「撤退する」という方針を決めた。

 再び学生が手を挙げ、「撤退の決定にはとうてい納得できないけれど、自分の意見を聞いてくれてありがとう」と、全体の決定に従うことを表明しました。

 そして学生たちは、バリケードをきれいに取り除き、議場を隅々まで清掃して、シンボルのヒマワリの花を一輪ずつ手に持って、整然と撤退したのでした。

 中台サービス貿易協定の審議の結果がどうなるかは、これからです。しかし、学生たちが多くの国民の支持を得て提出した問題提起は、今後、台湾の政治のあり方をより民主的な方向へ導く期待を持たせます。

 それにしてもなぜ、台湾の学生たちは、あのような「成熟した民主主義」を、行動で示すことができたのでしょう。ひるがえって、日本の実情はどうか。

 安倍首相が、民主主義破りをどこまでやっても、学生たちはもちろん一般市民もまるで去勢された状態です。

 今回のこのドキュメンタリー放映については、冒頭でも申しました通り、「よくぞやった」と思います。籾井勝人という安倍首相のお友だちをNHK会長として押し付けられて以来、その番組は酷く偏ったものになるのではないかと恐れていたからです。それだけに、まだ良心のある番組が放映できたことに驚いているのです。逆にいえばそれほど、日本の情報空間は痛んでいるともいえます。