「風間陽水の依頼簿（カルテ）・400」

カルテ番号　あ・28　６度目（7）

ここまで生きてきたのだ。
愛田恵子も用心はしている。
店への連絡は直接しない。
裏方掃除係りのパートのおばちゃんが実は連絡要員でもある。
それは、店の誰も知らないことだった。

外国人のお客も少なくないが、一見（いちげん）客は入らない。
付き添ってくる人で、およその見当はつく。
どうやら、愛田恵子を訪ねて来た外国人はいないようだった。
それでも３ヶ月は顔を出さないで、日本各地を巡っていた。
更に用心を重ねて、この期間、風間陽水のところへも顔を出さなかった。

「センセー、元気してた～？」
あれから３ヶ月が経とうとしていた頃、いつもの電話があった。
「アタシ、一人で各地をまわっていて、いろいろ考えたわ。
そろそろ、次の準備の種まきをしようと思ってるの」
愛田恵子の場合、人前で目立つ位置にいる。
多少はいいが、あまり長く同じ顔でいるのは、何かと話題になってしまう。
次の準備とは、いつか姿を消しても変に思われないようにする事だ。


（登場する人物・組織・その他はフィックションです）


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