水上陽平の独善雑記

水上陽平流の表現でいろいろな事を書いています。本館は http://iiki.desu.jp/ 「氣の空間」

「風間陽水の依頼簿(カルテ)・742」

2015-11-06 19:40:52 | Weblog



カルテ番号 む・2(42)

村木は自分の感じていた事を院長が理解してくれていると思った。
普通、この手の話は下ネタとして扱われかねない。
下ネタが低俗とも思わないが、性行為以外の分野で話を聞きたかった。
もっと広い範囲での影響を感じていた。
だが、どこでも性行為に関係する話にしかならない。

院長はゆっくりと話を続けた。
「医学の立場は、とても狭い分野でとらえてしまいます。
科学が分析学に傾倒しているからです。
医学が解剖的、生理学的だけとはいいませんが、細分化しています。
生きる存在、将来への意識、見えない支えとしての考えは重要視しません。
おかしな話ですよね。
重要なのは、生きる意識や意思の方なのに・・・」

村木は今まで相手に伝わるように表現できなかった。
だから、秘密にしていた。
生きる意識や意思。
そうなのだ。
生きる心が削がれる事を感じていたのだ。
肉体は衰える。
そんな事は知っているし、実感してきた。
だが、そういう事ではないのだ。

(登場する人物・組織・その他はフィックションです)

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