カルテ番号 ひ・7(9)
「私は何故か山に魅せられて生きてきました」
樋口新太郎は、そう切り出した。
「気がつくと、この歳です。
家庭も財産も持てないまま、一人です。
この先の人生も自分で決めるのは解っています。
ですが・・・他に生き方が・・・」
院長はしばらく黙っていたが、やがて話し出した。
「もしかしたら、という話です。
この国には海の民と山の民がいました。
長い、長い間です。
両者に争いはありませんでした。
生きる領域が違いますし、お互いが自分の場所を気に入っていました。
やがて、大陸から里の民がやってきました。
海の民も山の民も、自分と自然との世界観の民です。
ですが、里の民は自分と人、人と人の世界観の民でした」
樋口新太郎は院長が何か重要なヒントを言わんとしていると思った。
院長の話は続く。
「里の民は大きくなる事を目標としていました。
海の民も山の民にも、そういう考え方はありません。
自然は、その一部に自分達が生かされているだけと知っていたからです。
大きくなるとか発展するとか、理解できません。
理解不能な民相手に、里の民は思うままに振る舞えたわけです」
(登場する人物・組織・その他はフィックションです)
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