5万円。
中国と日本の価値差を10倍としてみる。
中国の価値で50万円くらいだろう。
だが最初から10倍を掛けているとみる。
中国の価値でも5万なら充分と踏んだ。
いや、幾らでもいいと思ったのだろう。
ワシの目は日本の価値で200~300万と観た。
役人が20万と言ったらワシは諦めた。
だが唯物論の国に成り下がった中国の役人だ。
目に見えない価値を見抜く目は閉じていた。
「ノウ!1万がいいところだ」
ワシは自信たっぷりに言った。
ワシは鬼のようだ・・・。
いつからこんなにズルくなったのか・・・。
役人「そ、それは、安すぎる。せめて3万」
ワシ「オマケでも1万5千円だね」
役人「そ、そんな事言わないで下さいよ。」
ワシ「フッフッフ、ほれ、部下が見てるぞ、どうする?」
役人「2万でお願いしますよ。お願い・・・」
もう少しイビってもよかったが、他の人が来た。
この衝立の価値に気づくだろう。
ここらでマヌケなニホンジン役をするか・・・。
ワシは嫌な越後屋タイプだなぁ・・・。
「わかった。その代わり、丁寧に包装してくれ」
「謝謝!」
こうしてワシは2万で買った。
2万なら相手も充分喜んだろう。
ワシも充分喜んだ。
双方、異論はないだろう。
螺鈿の象嵌の黒檀の透かし彫り台つき衝立。
しかも名人の「般若心経」
一文字一文字が「氣入り」で彫ってある。
ホコリにまみれていたが、欠けた箇所はない。
もちろん、剥がれた螺鈿もない。
完璧な仏品だ。
(本館は 「氣の空間・氣功療法院」