アバウトなつぶやき

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プロジェクト・ワイルド・エデュケーター

2007年11月21日 | しぜん
 ※今日の記事は備忘録になってます。
  興味の無い人は面白くないんで、読み飛ばしちゃってくださいませ。


 日曜日、shioちゃんと一緒に岐阜県の河川環境楽園内 自然発見館にて、「プロジェクト・ワイルド・エデュケーター養成講座」を受けてきました。
 プロジェクト・ワイルドは野生動物をテーマとして、生態系の仕組みや人間の役割・価値観を意識した活動を身に付けるための環境教育プログラムです。
 もとはアメリカ(CEE:Coucil for EnvironmentalEducation)で作られた体系的なプログラムなのですが、養成講座はそれを基にして子ども(小学生~高校生)に実施する、指導員を養成しようというもの。
 受講の参加動機は十人十色と言ったところですが、ワタクシの場合は「自分の興味のあることを掘り下げてみたかったから」でした。
 図書館の入り口に置いてあったリーフレットでこの講座があることを知り、受講してみたくなりました。詳しい内容は分からないけれど、講座という形で正面から自然のことを学んでみたいと思ったのです。
 動物が大好きでしかも詳しいというshioちゃんを誘ってみたら、一緒に参加してくれるというので心強いし。

 学校の理科や総合などで自然教室のような課外授業を実施した際に、遊びの要素を取り入れながら取り組んだ経験はありませんか?ネイチャーゲームで落ち葉の中に隠れたり、目隠しして木肌を触ったりして自然と親しむ方法を耳にしたことのある人も多いはず。
 前例のネイチャーゲームは樹木を対象としたゲームですが、今回の講座は「野生動物」が対象の教材です。動物になりきってゲームのように楽しみながら、生態系や生育環境等を分かりやすく学び、かつ、子どもたち自身が発見・体感できるように導きます。
 そういった指導役を担う人材を育てるのがこの養成講座の目的です。
 参加者には教員や教育関係者が一番多く、次いで、環境に関する行政職員、団体、コンサルタント、それから学生で、その他に主婦や退職者などの興味のある人が入ります。
 仕事として携わっていない人が参加する場合は、単に興味を持ったという人とボランティア活動に生かしたいという人が多いようですね。


▲これはテキストではなくて、参考資料です。中身はかなり面白い。子供と一緒にやりたくなります。

 実際に1日でどんなことをしたかを書き出してみます。写真を撮れる状態ではなかったので、文字ばかりですが…。

 まず最初はKJ法によるグループワークです。
 自己紹介がてら「水」に関する言葉を1単語ずつ発表し、それをカードとして書き出し、それらを使ってグループで話し合いながら図解し発表できる状態に持っていきます。与えられた時間は20分程度なので初対面だからと遠慮してる暇はありません。
 それぞれが自分の考えを述べながら言葉を類型化→並び替え→貼り付け→図解まで持っていきます。この「雑多な情報を統合する」というプロセス自体が訓練内容になります。
 発表を聞いていると、グループで言葉の解釈方法が違っていて面白い。そして、この「同じ材料を使ってもプロセスが違うと結果が変わる」というところがまた学びの内容になるのです。

 その次は切手に描かれている図柄を使って「動物」というものに対する定義へ。
 生物において「植物」でないものは「動物」、「家畜」でないものは「野生」というのをまず意識します。
 その上でこのプロジェクト・ワイルドの理念などを紹介してもらい、休憩をはさんでから野外へ。

 これが寒かった~。
 今期であと一回、冬にも講座をするらしいけど真冬だったらやってらんないかも。イベントの翌日だからどうしようかと思ったけど、今回のにしといて良かったです。

 野外では、実際にプログラムを体験する事から始めます。本来なら子どもが行うプログラムですから、大人がするとなるとちょっと照れくさい…と思いきや、みんな今から何が始まるんだろう?と興味津々です。
 まずやったのは「つながり発見!生息地」というプログラム。
 動物が生きるための条件である4要素(食物、水、空間、隠れ場所)を参加者に問う形で導き出します。その後、参加者をそれぞれの4グループに分け、隣同士が4人で手をつなぎます。
 「これで4要素が揃って条件ができた」と言うわけです。
 そこで、今度は全員で手をつなぎ輪になります。そしてそのまま横を向いて、前の人の肩に手をかける。
 そしたら今度は出来るだけすき間が無いように輪を小さくしていきます。そして、前の人に自分のひざが当たるぐらいまで密着したところで、掛け声を合図に一斉に後ろの人のひざに座るのです。
 するとあら不思議。
 輪になっていて力が分散されるために、誰もが「座ってる」状態になるのです。
 そして、「これが適切な生育地の状態」であると体感させます。
 もちろん、ここから誰かが抜けるとそれでこの均衡は崩れ、輪も崩れます。つまり、バランスが崩れると生育地も適切な状態でなくなる、と言う事を教えるのです。
 こういうことって言葉で説明すると聞き逃してしまいそうですが、こうやって体感させる事で、より深い気づきが得られる上に印象深いものとなるわけです。
 このようにして他にも「オー・ディア!」「死のつながり」というプログラムを行いました。
 鹿になって反復したり、バッタになって鬼ごっこしたりと、みんなぜーぜー言いながら走っていましたが、このおかげで体を使って体験する事の重要性に気づかされました。


▲お昼は環境楽園内のパン屋さんで。飛騨牛コロッケバーガー♪美味しかったけど、もっとコロッケが大きい方が嬉しい!

 午後はまず、自分の一番興味あることをボードに書き出すよう指示されました。
 ワタクシ…今が旬の「草木染め」と記入。隣でshioちゃんは「消しゴムはんこ」と記入。
 書いたところで、室内を自由に動いて自己アピールして回ります。午前は偶然に近くに座ったもの同士でグループになりましたが、午後はある程度興味が似ている者同士でグループを構成しました。
 草木染めはフィールドワークとして捉えられてフィールドグループへ、消しゴムはんこは「楽しむこと」とテーマとしたグループに入って「消しゴムはんこグループ」と命名されてました(笑) クラフトつながりで同じグループになると思ったのにな。

 さて、次はこのグループで「みんなのトンボ池」プログラムを実施です。
 まずグループに1枚、池と湿地を描いた絵を渡されます。
 そこに畑・養鶏所、家・マンション、工場、公園・道路、GS・レストラン・スーパーをカード状に描いた紙を渡されます。
 そしてグループ内で、農家、住民、工場代表、行政、実業家に分かれて、それぞれの立場で要求を出しながらトンボの住める環境を守った街づくりをカードを配置しながら計画するのです。
 ワタクシ、「実業家」役でございます(笑)。「GSは国道沿いに、スーパーとクリーニング店は併設にしてもらって、レストランは住宅地付近か景色の良い所を要求します」と主張。
 そして「行政」役は「我が市は財政が潤ってるのでどんどん道を作りますよ~」とか。
 初めは面白がってしまい、それぞれの立場になりきりながら話をしてましたが、工場代表役の人が造園コンサルタント経験者で技術者取得というプロだったために、徐々に軌道修正してくれました。
 というのも、これは演習なので予算や工程は考える必要はなく、理想の街を作れば良いのに、ワタクシはつい「現実ではこんなにたくさん緑地帯は取れないでしょう?」などと考えてしまったりしたのでした。こんな時でも悪い条件を考えてしまうなんていやですね。理想なくして良い未来は無いって言うのに。
 しかし、おかげで緑地が多く下水道完備のなかなか良い街が出来ました。このプログラムが一番面白かったような気がします。

 その後は、実際に自分たちがプログラムを行う立場になり、それぞれ課題のテキストを見ながら試行錯誤し、実施します。
 何を準備し、どんな風に進めるかなどを計画するのです。対象年齢によって指導方法も変わってくるので、その設定から始める事が出来ます。
 そして計画の後はグループ別で指導員になって実践です。別のグループの実践に対しては子ども役で体験します。
 「ジャングル・ゲーム」では「捕食者」と「獲物」になってかくれんぼをします。
 そして、見つからなかった人はなぜうまく隠れたか、という問いかけに持って行き、「適合(擬態など)」についてまとめます。
 「魚を作ろう」は、魚カードを作ってピックアップした後それぞれの特徴を知り、その特徴を併せ持った魚を描き出すと言うプログラム。これは子どもを荒唐無稽な方向へ持っていかないようにしなければならず、コミュニケーション能力が問われる難しいプログラムだと感じました。
 ワタクシのグループは「渡りはつらいよ」という、渡り鳥が繁殖地と越冬地を旅する際に起きる危険を想定して、模擬体験をさせるというプログラムでした。
 基本的には参加者を渡り鳥に見立てて移動させ、ボードを使ったイスとりゲーム形式で鳥の増減を図ります。
 対象年齢を低くして、「渡り鳥に及ぼす危険は自然の要因もあれば人的要因もある」ことを前面に押し出す形になりましたが、やはり教育と言う視点からはまだ足りなかったらしく、渡り鳥の習性に触れることや越冬地の環境が良くても繁殖地の環境が悪ければ増えない点など、グラフから読み取れる事も説明として補足出来なかったという反省点が残りました。
 そして、指導者は知識も必要だし、実践する場合には準備が詳細になされてなければならないことを痛感したのでした。

 これだけのことを8時間で一気にやってしまったので、時間はあっという間に過ぎました!


▲これが、いただいた認定証です。

 ワタクシは自然環境のことを考える時、子供の頃に自然に触れて楽しい思いをしていなければ、大人になってから「環境が大事」と言われても心からの実感は出来ないのでは無いか、と常々考えています。
 現在のワタクシの状況で今回学んだ事を使える機会はないと思うのですが、将来的にはボランティアとしてでも子ども達に自然環境を愛する気持ちを育む手伝いをしてみたい、、、と考えさせられたのでした。

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 どさくさに紛れてオマケ。
 
 3号さんから、イベントの時の写真をたくさんいただきました。
 その中でも、知らないうちに撮っていただいたこの写真。なんと仲睦まじい親子ではありませんか。
 おそらく周囲の音で話し声が聞こえずに耳に近づいたところだと思うのですが、まるでおでこチューしてるように見えますね(笑)
 こんな写真、うちには無いので嫁を連れてくるまで大事にさせて頂きます。3号さん、ありがとうございました!