テレビ版の特集はこちら。
監督:鈴木雅之 脚本:福田靖
出演:木村拓哉 松たか子 大塚寧々 阿部寛 勝村政信 岸部一徳 松本幸四郎 イ・ビョンホン 森田一義 中井貴一 綾瀬はるか
東京地検・城西支部の検事、久利生公平(木村拓哉)は、同僚の芝山(阿部寛)が起訴した事件の裁判を任される。容疑者が既に犯行を認めていたが、初公判でいきなり無実を主張し始めた。担当弁護士は、刑事事件無罪獲得日本一の弁護士、蒲生一臣(松本幸四郎)。豪腕弁護士として名を轟かしている蒲生は、様々な戦術で久利生を追い込んだ。東京地検特捜部の黛検事が、有益な情報をもたらすが、あくまで自分の力で事件を解決しようとする久利生は、事務官の雨宮(松たか子)と奔走する。
手数と頭とカネが使ってある東宝サラリーマン喜劇。こう考えれば、イ・ビョンホンの特別出演と韓国ロケの意味の無さも理解できる。製作費がたっぷりだから海外ロケを!って感じ。人気歌手が出てきて一曲ご披露されるかとヒヤヒヤした。
福田靖の脚本がとにかく周到。「あるよ」のオヤジ(田中要次)が出てくればあのドラマの世界にみんな一気に入り込めるわけで、素直によくできた映画だと皮肉無しに思える。予想外に興収が伸びなかったと揶揄はされたが、80億かせぐことがどれだけしんどいかわかっててマスコミは言っているのだろうか。まあ、いかにもフジテレビな仕掛けの数々に反発ってことだろうが。ラストシーンについてうわさを盛り上げて稼ごうってのは確かにお上品なやり方じゃないわなあ……。ワトソン役の松たか子が、実はホームズの庇護者でもあることを観客が感じとっていたからあのラストは成立したわけだけどね。
木村拓哉の場合、底抜けに明るそうな演技の向こうに、一種の“暗さ”がただようのが身上。中卒の検事というこのドラマの設定はそんなキムタクにぴったりなのだろう。やんちゃな木村拓哉の特攻ぶりを見守る児玉清と松本幸四郎……教養小説的設定も、娯楽映画の王道を歩んでいる。批判も多いようだ。しかし、こんな映画がないと日本映画界が本当に復活したとはいえないはず。わたしは支持する。
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます