『16年のウルトラシリーズ不在の期間で最も変化したのは、ウルトラを観て育った子どもたちが、大人になって自分の子どもを持つまでになった、つまり視聴者層が二世代化したということ、加えて製作者側も同じくウルトラ世代が製作現場のほとんどを占めるまでになったということである』(片岡力~【円谷THE COMPLETE】)
まったく、そのとおりだと思う。傑作ウルトラマンティガの結実は、円谷の子らによるものだ。
二世代化した円谷の子である典型が堀家。土曜の夕方、息子と二人で「ティガ」なる、わけのわからない名前(インドネシア語の聖なる数字“3”を意味する)のウルトラマンの再開を見つめる。私は前回お伝えしたように、3タイプの変身や、主演がジャニーズ系であることなどで醒めた気持ちで観始めたが、私が借りてきたビデオによって「帰ってきたウルトラマン」の大ファンになった息子は素直に興奮している。
……正直、特撮にしょぼいところはあった。しかし、V6のテーマソング「Take Me Higher」のかっこよさに代表されるスタッフやキャストの本気ぶりには圧倒された。すごいぞこれ。
体裁として子ども番組であることから離れられないウルトラシリーズにおいて、主人公は熱血漢に設定されることが多い。けれど、長野博演ずるダイゴは、長野のキャラに似て“超人になってしまった自分に、とまどいながらも運命として受けいれる”冷静さがあり、熱血漢嫌い(なんだそれ)の私を喜ばせた。それに、彼のV6としての仕事が多忙をきわめたため、脇役中心の回がけっこうあり、クールビューティ高樹澪(イルマ隊長)目当ての親世代には結果オーライ。
そして吉本多香美。レナ隊員を演じたこの初代ウルトラマン黒部進の娘は、ガッツあふれる演技(こっちが熱血漢だったのね)と、子ども向けとはとてもいえないファッション(タンクトップ姿のセクシーさは今も鮮烈)で、特撮アイドルとしてブレイクした。この娘のことは、なにしろ黒部の子だから円谷の子らはみんな応援している。映画「皆月」で見せた奥田英二とのからみはポルノそこのけだったし(イったあと、痙攣する姿はリアルそのもの)、並の根性ではない。第二のひし美ゆり子として、長く記憶されるだろう。
最終回「輝けるものたちへ」は、翌日の運動会準備のために居残っていた職員室で、たった一人で観た。まるでドラゴンボールの“元気玉”のような展開には疑問もあるけれど、見事なドラマだったとつくづく感心。以降、平成ウルトラシリーズはまたしても子ども向けに傾斜していくのだが、いつの日かまた、我々をノックアウトするウルトラが降臨してくれるに違いない。ティガを観て育った世代による、円谷の孫に向けて作りだした超人が。
好きなだけ連投していいぞ(笑)