事務職員へのこの1冊

市町村立小中学校事務職員のたえまない日常~ちょっとは仕事しろ。

「オデッセイ」 The Martian (2015 FOX)

2016-02-27 | 洋画

あのリドリー・スコットがこんなにストレートな人間讃歌を、と絶句(実はかなり感動)。弟のトニーを悲惨な形で失ったからか、シニカルに語っていられる世相ではもうないという判断か。

誰でも一度は夢想したことのある漂流物語。無人島に流れ着いたら、まずは飲料水の確保だな、食物はあるだろうか、むこうに船が見えたら火で合図を送らなきゃ……この構図が、なにしろ舞台が火星なので数段スケールアップして行われる。

事故のためにひとり探査隊から取り残される主人公マーク(マット・デイモン)が植物学者だという設定が効いている。クルーの排泄物と火星の土を使ってじゃがいもを栽培する(水も触媒を使ってつくる!)あたりの描写にわくわく。

イギリス人スコットが、だからこそアメリカ人の良さをてらいなく描いていてすばらしい。絶望せず、常に軽口を忘れず、ひとつの手段がだめなら次の手段を、と次々にくり出す。16進法を使ってアンテナの微妙な角度でアルファベットを示すあたり、文学部出にはさっぱりでしたが(笑)。日本人ならここで愁嘆場ってあたりをユーモアでくるみ、だからこそラストで……

エイリアン」「プロメテウス」を経過しているので、宇宙でのアクションの前に計器をチラッと確認するあたりの演出も細かい。船長ジェシカ・チャスティンの浮遊状態での移動や、ラストのあの“ダンス”は、映画でなければ絶対にお目にかかれないセクシーな祝祭だ。

音楽がまた中年男を泣かせるのよ。アバの「恋するウォータールー」やテルマ・ヒューストン、ドナ・サマーの「ホット・スタッフ(お熱いもの)」など、“前世紀”のディスコミュージックが全篇に流れ(クールなジェシカがディスコファンなのが笑える)、とどめはこの映画のためにあるようなグロリア・ゲイナーの「恋のサバイバル」。むかしの曲にはなんでも邦題に恋がついてます。

そして、デビッド・ボウイの「ジギー・スターダスト」からもいただいて、マークが「火星の人」(原題)となっている象徴に。さすがだ。

これはもう、映画館で観なければまったく意味をなさない映画ですよ。いますぐ劇場へ走れ!

コメント   この記事についてブログを書く
« ブラック・レインがわからな... | トップ | 真田丸 第八回 「調略」 »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

洋画」カテゴリの最新記事