事務職員へのこの1冊

市町村立小中学校事務職員のたえまない日常~ちょっとは仕事しろ。

「大空港」ふたたび。

2018-04-13 | 洋画

PART1はこちら

リンカーン空港のトラブルは雪だけにとどまらない。定期的な操縦チェックのために(こういう細部がうれしい)副操縦士として搭乗するディーン・マーティンは女たらし。イメージキャストです。

現在の愛人はCA(じゃなくて当時はスチュワーデスか)のジャクリーン・ビセット。彼女は妊娠しており、中絶するつもりはないとマーティンに告げる。

片側に女たらしがいれば、トラブルシューターとして有能なところを見せるジョージ・ケネディは愛妻家。こういうところがあざといと言えばあざとい作劇。

バート・ランカスターの家庭もすでに崩壊していて、彼の心は航空会社で地上勤務している未亡人ジーン・セバーグにある。

「あなたが今しなければならないのは、奥様に電話することよ」

世の中の愛人がみんなこんなにものわかりがよければ(笑)。

後半のストーリーの核は、他人とうまくやっていくことができないために失業し、飛行機を爆破して保険金を妻に遺そうとしている男(ヴァン・ヘフリン)。これだけだとしんどいので、飛行機のただ乗り名人であるおばあちゃん(ヘレン・ヘイズ……この映画でアカデミー賞助演女優賞をゲット)のエピソードを上手に挿入。彼女は空港や航空会社のシステムを知悉しており、その裏をかいてちゃっかりローマ行きに乗りこむ。隣に座っているのが爆弾魔……うまい。

作品をつらぬくテーマは、仕事に誇りを持て、だろう。

登場人物たちはその持てるスキルのすべてを発揮してこの混乱の一夜をしのぐ。プロの誇り。その代表が、強引な手法でスタックからボーイング707を脱出させるジョージ・ケネディだ。「こんなことはできないって教わりましたよ」と若手は感嘆。葉巻をくゆらすケネディがにくい。

だからこの映画の最大の悪役は爆弾魔ではなく、保身のために滑走路の延長を認めない上司や、シートや食事に文句をたれるクレイマー。会社員として、客としてプロであれ、ということだろう。ただ乗りおばあちゃんもまた、プロなのだ。

スタッフ、キャストともにプロとして一流の仕事を見せ「大空港」は傑作となった。ぜひ!

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