こんな意見が。
娘は「ナイトメア・ビフォー・クリスマス」のほうがよかったと言っていましたが、私はこっちのほうがよかったと思います。感動的だったし、何より、ビクターはジョニー・デップそのものですよね。ジョニー・デップが演技しているような錯覚に陥ったのは私だけですか?声だけなのに、恐るべし、ですね。でも、娘にすればそういう観方はしてほしくない、純粋にアニメーションとして観るべきだ、とのこと。よくわからないけど、とにかく満足して帰ってきました。
……母と娘、どちらの意見もわたしにはよくわかる。オタッキーなアニメファンでなくとも、主人公のキャラの向こうにデップの魅力を“加味”するのは一種の邪道ではないか、と思う人は娘だけではないはず。でも映画ファンとしては「それもまた映画だ」と開き直ってしまおう。
逆のことを考えてみればいいと思う。声優として著名なタレントを起用するのは、話題作りの意味もあって日本でもよくあること。そして、それはなかなか成功していないのだ。宮崎駿はプロパーな声優の起用を嫌い、すでに完成された俳優を使うことで知られている。その理由には諸説あるようだが、ちょっと俳優ごとに成績表をつけてみよう。
初井言栄(天空の城ラピュタ)☆☆☆☆★
夏木マリ(千と千尋の神隠し)☆☆☆☆
石田ゆり子(もののけ姫)☆☆☆★★★
松田洋司(風の谷のナウシカ)☆☆☆★★★
寺田農(天空の城ラピュタ)☆☆☆★★★
森繁久彌(もののけ姫)☆☆☆★★★
北林谷栄(となりのトトロ)☆☆☆★★★
木村拓哉(ハウルの動く城)☆☆☆★★
糸井重里(となりのトトロ)☆☆☆★★
倍賞千恵子(ハウルの動く城)☆☆☆
美輪明宏(ハウルの動く城)☆☆★★★
美輪明宏(もののけ姫)☆☆☆★★★
田中裕子(もののけ姫)☆☆☆★★
菅原文太(千と千尋の神隠し)☆☆★★
加藤登紀子(紅の豚)☆☆
森光子(もののけ姫)★
……異論がおありだろうと思います(笑)。世評高い倍賞千恵子や菅原文太が低すぎるとお怒りの方も多いはず。でもわたしはこう思ったのだ。確かに彼らは達者だったけれど、その“キャラ自身”にはなりえていなかったと。宮崎アニメ声優陣のなかで最高峰だとわたしが思っているのは、まったく無色の存在だった神木(マルクル)隆之介だが、それと同じくらいのレベルで初井言栄を評価するのは、彼女の演技こそが文句なく女海賊ドーラの性格を形づくっていたからだ。
初井とまったく同じ意味で今回のデップはすごいと思う。やっぱり天才。まあ、もっとすごいのは、昼は「チャーリーとチョコレート工場」、夜は「コープスブライド」と、二作品をまったく同時期に撮ろうなんて考えたティム・バートンの狂気の方だが。
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