事務職員へのこの1冊

市町村立小中学校事務職員のたえまない日常~ちょっとは仕事しろ。

となりのトトロ

2008-07-19 | アニメ・コミック・ゲーム

Img20060728  まさかこの映画を観たことがない人はいないと思うので(いや、油断はできないが)、余計な話はなしにすすめる。わたしはこの夏のオンエアで5、6回目のトトロ体験。やっぱり泣いてしまった。はたして、この映画はどうしてここまでオトナを泣かせるのだろう。

 もはや『国民映画』になっているので忘れられがちだけれど、88年、「火垂るの墓」と二本立てで封切られたこの映画は、実はヒットしていなかったのだ。わたしは酒田の、今は廃業した港座という映画館で妻と観たのだが、休日なのに客はそれほどでもなかった。

しかし見終わってわたしたち夫婦は「今、とんでもない経験をしたんじゃないのか?」と思うぐらい満足していた。そのくらい、すばらしい映画だったので。

 この映画が観客を泣かせる理由の第一は、(そんなひねくれた見方をしなくてもよかろうと言われそうだが)草壁一家が、特にサツキとメイの姉妹が「健気で、かわいそう」だからだ。ミもフタもないけどね。母親が患い(おそらくは結核)、入院してしまう。「単なる風邪」のはずだったのに、理不尽に姉妹の前から母は消えてしまうのだ。そのことを、立派な姉であるサツキと、邪気のないメイはいつもは考えないようにしている。少なくとも、暗い表情を父親に見せない努力をしている。この時点で、結核が死病だった時代の記憶がある年長の世代は、はやウルウルだ。そして彼女たちの「我慢」が、メイの失踪によって破られ、その危機をトトロや猫バスが救う展開は、やはり胸をうつ。

 何度も観ているので、少しは冷静になって涙も出ないだろうと思ったら大まちがい。サツキとほぼ同世代になった娘といっしょに観ていたのが大失敗。父親の目で娘たちの動揺を感じるようになってしまい、こりゃ、たまらん。

 しかしなぜサツキとメイにはトトロが見えたのだろう。

子どもの心は純粋だから?
大人は常識によって目が曇ってしまっているから?
それもあるかもしれない。でも、それならカンタをはじめとした田舎の少年少女にだってトトロやススワタリが見えてもいいはずではないか。

 わたしはこう思った。母の不在に加えて、都会から不案内な田舎にひっこしてきた彼女たち姉妹は、ひたすら淋しかったはず。その淋しさを押し隠す必死さ、健気な心に、精霊であるトトロたちが応えたのだと。なんかすんげー恥ずかしいことを中年のくせに語っているけれど、観客はそう考えることでこの感動を“ねじ伏せるしかなかった”のではないだろうか。少なくとも、わたしはそうでした。文句なく傑作。観てないヤツは観ろよな、100回ぐらい。

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