「時限紙幣」はこちら。
30分だけ時間をつぶすのに、書店以上の天国はない。書店員の気合いがこめられたディスプレイを眺め、どわっ、この人の新刊が出てたのかと驚かされるのもしばしば。Amazonのメールもうまいところを突いてくるんだけど、あまりにもピンポイントなのが難。やっぱり現物にはかなわない。
で、天童の八文字屋で30分。自分の心の中では「2000円までは使ってよし」。
うわあフロスト警視シリーズの完結編をまだ買ってなかった、宮部みゆきも出てる、伊坂幸太郎の新作はもう買ったからいいんだよな……そして目に入ってきたのがこの「消滅遊戯」。ついにあのロジャー・ホッブスの新作がっ。
2052円と予算オーバーだけど文春だから高いのは仕方がない(笑)。それに、ゴーストマン(「時限紙幣」は2015年のマイベストミステリです)の続篇を読まずにおれるほどわたしは人間ができてはいない。
舞台はマカオ。闇ルートで流れる“ブツ”の争奪戦。このブツが宝石であるかのようにうまくミスリードされる。まるで見てきたような嘘が大量にしこまれているのか、東京の描写の正確さから考えると、あるいは取材が徹底しているのか。とにかく今回も面白くて読み始めたらやめられない。
前回がまるで“携帯電話は飲み物”であるかのようにバッキバキに使い捨てにして笑えたように、今回ゴーストマンはあらゆる人に現金まきまくり(笑)。敵役との最後の決戦が、ホテルの人口滝で行われるなど、コナン・ドイルへのリスペクトもばっちりだ。
セックスをまったく描かず、まるでアンジェラとゴーストマンの関係がプラトニックであるかのように誤解させるテクニック。うまい。さあまたしても新作を待ち望む日々がつづく……
え。
作者のロジャー・ホッブスは、28歳の若さでオーバードーズのために急死してしまっている。なんてことだ……
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