大叔母の葬儀を終え、警察官である酔った夫を助手席に乗せ、かおりは自宅に向かう。悲劇は突然にやってくる。かおりは大雨の中を徘徊する老婆を轢いてしまう。妊娠中のかおりはひき逃げ(様々な要因がからむが)で逮捕され、塀のなかで出産する……
離婚を夫に迫られ、子どもと引き離されたかおりの日常が語られる。すべて、かおりの一人称によって。
大好きな佐藤正午の作品。「身の上話」「鳩の撃退法」「月の満ち欠け」といったトリッキーな近作と違い、今回はどストレート。
1年に1回という驚異的な連載形式。だから本来はコロナ関係は描くつもりはなかったろうが、前科持ちの離婚した女性の苦難が心にしみる。そして、タイトルの意味(熟した柿は自然に落ちる)に最後に気づかされ、なんとも幸せな気分になれます。
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