出演:大沢たかお、北大路欣也、池内博之、長谷川京子、柄本明、生瀬勝久、西村雅彦、伊武雅刀、加藤清史郎
いきなりネタバレです。官軍が江戸城に入城するとき、桜田門前で西郷隆盛は
「ここから(維新が)はじまった」
とつぶやく。カメラがそこからパンすると、現代の国会議事堂につながる……なんか、面白そうでしょ。
井伊直弼が藩主だった彦根藩屋敷が霞ヶ関あたりにあったことと、近代への革命がまさしく桜田門外ノ変からスタートしたことのダブル・ミーニング。
でもねー、観るべきはそこだけだったあたりがしんどい。60名超で登城する井伊直弼と彦根藩士に、水戸藩士17名と薩摩藩士1名で襲撃する、となればどうしたって「十三人の刺客」と比較したくなる。でも、極悪さが芸になっていた吾郎ちゃんと違い、この作品における井伊直弼(伊武雅刀)は、旧弊で無能な政治家に矮小化されているものだから、単なる勧善懲悪劇に見えてしまう。
単純にわければ、開国にシフトしようとする井伊と、攘夷を説く水戸藩主、徳川斉昭(北大路欣也)は、立場は違えどどちらも英明な政治家だったはずなのに。
調査魔である原作の吉村昭の貢献で、桜田門外ノ変が単なる暗殺ではなく、薩摩藩士3000名を京にのぼらせる契機となるはずだったというのはお勉強になった。でも、薩摩藩の状況の変化を読み切れず(あそこの内情はわかりづらいでしょうが)、結果として極右テロに堕してしまった経緯には「おいおい、そんなに単純に政治を考えてたのかよ」と突っこみたくなる。襲撃者たちを
「この、馬鹿者どもが」
と唾棄する井伊直弼の気持ちもわからないではない。
暗殺の戦術的側面を首謀した主人公の関(大沢たかお)が、愛人が獄死したと聞かされてすぐに落涙したり、斬首される寸前に頭をよぎるのが妻と子(子ども店長ってほんとうに演技がうまい)の笑顔だったり、なんか演出もわかりやすすぎ。
ここは演出としてグッとこらえるタメが必要だったし、近藤勇が最後に思い出したのが“遊び相手”の土方歳三だったという「新選組!」のひねり具合がほしかったなあ。
数多く起用された喜劇俳優たちも味になっていないし、城内の論争やお白州のシーンはコント芝居みたい。井伊直弼の花の生涯が、こんなレベルで語られるのはちょっと哀しい。茨城県の全面バックアップで完成した映画だから仕方ないのかな。滋賀県の反撃を待つ!
『一期一会』と言う言葉を広めた人だったそうです(『篤姫』で直弼が篤姫に茶を立てる場面がありました)。時代が時代なら、『彦根の名君』で終わっていたんでしょうが
運命の皮肉ですかね。
まあ、歴史は後の人間に都合のいいように書いてますし、そのとき彦根城では
「ひこにゃん」の方が人気ありましたからね(笑)。
ちなみに私は茨城と滋賀のハーフです・・・
歴史上の人物の評価って、のちにどんな作品で
語られるかに左右されますよね。
これまでは井伊直弼の方が「花の生涯」でぶっちぎり
だったのに、この作品で逆転かなあ。
ちなみに、わたしは庄内藩の生まれですけど、
ここはなぜか官軍側の西郷隆盛が大人気です。
ここに共感です。伊武さんじゃ、どう見てもただの暗愚な殿様にしか見えませんでしたもん。
だとすると、あたしは庄内藩と山形藩のハーフかな・・・。
小学校のとき、鹿児島と姉妹都市ならぬ、兄弟都市とやらになって鹿児島の小学生とやたら交流したことがありました。
中学校の校長は西郷隆盛の信奉者で、隆盛とは呼ばずに南洲翁と呼んでましたわ。学校のシンボルは「敬天愛人」・・・。とばっちりにしか思えなかったもので、いまだ西郷が苦手です。
どっちかというと、マイナーな大久保の方が好きですわ。
オレも怜悧な行政マンであるあいつが好きかな。
大村益次郎にしても、テクノクラートである自分に
満足してたんでしょう。
先週は内陸の人たちに責められてました。
芋煮について。
そりゃあわたしだって
内陸→牛肉+醤油
庄内→豚肉+味噌
であることは承知していましたが
sakuraiさんと同じように庄内藩から山形藩に行った
事務職員のひと言にまいりました。
「庄内のには厚揚げが入るからねぇ」
わたし、内陸の芋煮に厚揚げが入っていないなんてこの年に
なるまで気づきませんでしたっ!
だいたい“厚揚げ”なんて単語は庄内にはないっ!