「重力ピエロ」や「アヒルと鴨のコインロッカー」などで軽快にとばす伊坂の新作がまさか“政治小説”だったとは。キーワードは「違和感」。ワイドショー化したマスコミ報道やネット情報に踊り、カリスマの匂いのする政治家があっという間に首相にのぼりつめる日本。そのことに違和感を抱いた兄弟はそれぞれに行動を起こす。しかし、究極の“魔王”となるのは……。
おそらく右翼からも左翼からも(厳密には改憲派・護憲派。日本の場合これがねじれている。右翼が改憲で左翼が護憲。変な話でしょう?)批判されることを承知の上で伊坂は書いているのだと思う。しかも、違和感を抱き続ける冷静なある人物がラストで……あわわネタバレになっちゃうな。語り口がいつもの軽快な伊坂調であることで、むしろ日本の異常さがクリアに見えてくる。問題作、という表現がこれほどぴったりな作品も珍しい。ぜひ。
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