事務職員へのこの1冊

市町村立小中学校事務職員のたえまない日常~ちょっとは仕事しろ。

「資金源強奪」 (1975 東映)

2013-10-17 | 邦画

66d95d2fbd12f85acedfd21f6676e646_vi 高校生のころに東映やくざ映画の洗礼を受けたわたしは、しかし「資金源強奪」の“やくざ映画らしくない”部分にやられてしまった。うわあ深作欣二ってすげえ、と。

1975年に封切られたこの作品は、深作にとってどんな時期か調べてみた。前年に「仁義なき戦い」シリーズを完結させ、翌年は「新仁義なき戦い 組長の首」(アンヌ隊員だったひし美ゆり子がそんなに脱がなくても!とショックを受けました)、「新仁義なき戦い 組長最後の日」を会社に命ぜられて撮り、あの名作「仁義の墓場」「県警対組織暴力」を連発。

ここでへとへとになった深作は、開き直って怪作「資金源強奪」「暴走パニック 大激突」をつづけざまに発表したのである。「資金源~」の場合、あまりに会社が理不尽なので「ふかさくきんじ」名で撮っている。ふざけんなよ、というわけだ。もっとも、客はこれをギャグとうけとって大喜びだったんだけれども。

高田宏治の脚本も、尺が短いものだからタイトに決まっている。賭場のあがりを強奪する手段も(東映にしてはめずらしく)ひねりがあったし、そこからおしゃれなラストまで、悪徳刑事との丁々発止がつづくなど、肌合いとしてはドナルド・E・ウェストレイクのドートマンダーシリーズのよう。

出演は、強奪犯3人に、知能担当北大路欣也、爆弾担当川谷拓三、貧乏担当(笑)室田日出男という泣かせるキャスティング。愛人にマンションを“買ってやらなければならない”悪徳刑事に梅宮辰夫、強奪犯よりもよほどたちが悪い組長たちに安部徹、天津敏、男たちに振り回されるように見えて……な女性たちに太地喜和子、小泉洋子、芹明香と盤石。

奪われた金を親分たちが水増し申告したために二転三転する展開と、いまはみんな大御所になっているか鬼籍に入っているキャストの、若くはつらつとした動きが気持ちいい快作&怪作。観終わると気持ちが軽くなること確実。もっとも、作った方は心底へとへとだったわけですけどね。

Shikingengodatsuimg02

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