♪マッハGo! Go! マッハGo! Go! マッハGo! Go! Go!♪
エンディングで「マッハGo Go Go」のオリジナルテーマソングが流れ、つくづくと名曲だったと感服。年季の入ったアニメファンなら、ひきつづき
♪マッハ15の スーピィドだぁー♪
と「スーパージェッター」のテーマも歌えるだろうし
♪マジンGo! マジンGo!♪
と関係ないのに「マジンガーZ」までメドレーするやつもいるかも。やりすぎですか。
タツノコプロのアニメ「マッハGo Go Go」が、アメリカで「スピードレーサー」として放映され(ローカルネットワークだけどね)、向こうのちびっ子たちに大人気だったことを知る人はいても、そいつを「マトリックス」のウォシャウスキー兄弟が映画化すると想像した人はいないはず。あの変態兄弟が子ども向け映画を?
実はけっこう期待もしていたのだが、予告篇を劇場で初めてみたときに嫌な予感が。のっぺりとした主役の若手(エミール・ハーシュ)には魅力のかけらも感じられず、あまりにぶっ飛んだレースシーンが一般ウケするとはとても思えず……結果は危惧したとおりになった。全米でも日本でも興行は大コケ。あまりにも病的な画面に、観客がひいてしまったのだろう。
だいたいこの映画、子ども向けであることをみずから嘲笑してしまっている。明度の高い原色だけで構成されたドラマ部分、極彩色(特に赤と黒が基調)のコースを白いマッハ号が突っ走るレース部分、いずれもポケモンの「パカパカ」と呼ばれる明滅効果で失神するような弱っちいガキどもなど相手にしていない。これはもう究極のポップアートではないか。しかも、オープニングからラストまでタバコ一本、アルコール一滴も登場しない徹底ぶりは、完全にギャグになっている。勝利したレーサーはミルクで乾杯だし、たった一度のキスシーンの前には「伝染病に注意!」のシーンが挿入される。主人公の母親がスーザン・サランドンで恋人がクリスティーナ・リッチ。こんな病んだキャスティングを子どもが喜ぶものか。
「マトリックス」の1作目以上にレースシーンは現実離れしている。重力と車酔いのない世界。マッハ号をはじめとしたレースカーは明らかに女体をシンボライズしているし、エンストから復帰するシーンはまるでセックス描写だ。さすが変態。わたしは途中からはっきりと引きずりこまれた。
そう、この映画はまったく子ども向けではないし、子どもに見せてはいけないのである。こんなに面白い映画を若いうちから観てはいけません!
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