この映画で何が意外だったか。“王”と呼ばれるこの巨猿、体長はわずか7㍍しかないのである。いや、もちろん巨大であることは間違いないけれど、そんなにちっちゃかったのかぁ、という印象。
この誤解の根本には日本製ジャンク映画「キングコング対ゴジラ」(’62)の刷り込みがあったのだと思う。50㍍はあろうかという怪獣と闘わせるために、東宝はほぼ同程度の大きさをコングに与えたので。しかしそれ以上にわたしの頭にあったのは、76年版のコング(失われた世界貿易センタービルが舞台だった)が、手のひらにのせたジェシカ・ラングの濡れた身体に息を吹きかけて乾かしてやる(笑)というエッチな場面があったからかも。
今回のリメイクも、エッチ度はかなり高い。コマ撮りやぬいぐるみだった今までと違い、モーションキャプチャー(ぬいぐるみCGと思っていただければ)のおかげでかなりリアルな「美女と野獣」の物語が達成できている。恐竜とのチェイスシーンの迫力もすごい。ラストは「タイタニック」そのまんまだが、こっちの方が素直に泣けたと告白しておきます。はっきり言ってディカプリオよりは感情移入しやすいぞ。
しかしどうも読者の間でも評判が良くないようだし、興行収入もいまひとつなので擁護させてもらおう。多くの人が指摘する「髑髏島(スカルアイランド)に着くまでが長すぎる」点だが、ここまでがいいんだけどなあ。愛と狂躁のアメリカンジャズエイジを、ニュージーランド人のピーター・ジャクソン監督がここまできっちり描いたことをむしろ評価してくれなくちゃ。ボードビルショーの合間に、不況の世相のカットをちりばめるオープニングなど、わくわくする。
今回のスクリーミングアクトレス(絶叫女優)ナオミ・ワッツは大健闘。この人が美人かどうかは意見の分かれるところだろうが(わたしは好みだけどね)、「マルホランド・ドライブ」のときの邪悪な表情を考えると、間口の広い女優だなあと感服。でも、トリオを組んだエイドリアン・ブロディ(素敵!)とジャック・ブラック(やっぱり適役!)のなかで、実は彼女がいちばん年上(38才)。猿と恋愛してる場合か。
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