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事務職員へのこの1冊

市町村立小中学校事務職員のたえまない日常~ちょっとは仕事しろ。

「高瀬庄左衛門御留書」砂原浩太朗著 講談社

2021-07-06 | 本と雑誌

ふたりの、とても魅力的な女性が出てくる。どちらも高瀬の人生を激しくゆすぶる存在だが、描き方が端正ですばらしい。

妻を亡くし、息子も亡くなった高瀬の人生の残りの日々は……

誰でも気づくように藤沢周平の「三屋清左衛門残日録」をモデルにしているのだろう。背景にある藩の政争も海坂藩のそれを思わせる。藤沢の新作がもう望めないいま、愉しみなシリーズ開始。

作者は「決戦!」シリーズでデビュー。ほんとに講談社はうまい企画を思いついたものだ。

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「真実」 梶芽衣子著 文藝春秋

2021-07-06 | 芸能ネタ

三船敏郎関係はこちら

梶芽衣子、と聞いてあなたはどんな印象をお持ちだろう。意外だったのは彼女の長いキャリアのなかで最も大きな部分を占めているのが「鬼平犯科帳」の密偵役だったこと。わたしの世代だとどうしたって「女囚さそり」シリーズということになるのだが。

この「真実」(なぜこのタイトルにしたかは十分に伝わる)において、梶芽衣子はなにもここまで、と思えるぐらいに自分の過去を明かしている。トラブルも多い。それは池波正太郎夫人との会話からもうかがえる。

奥様から出身を聞かれたので

「江戸です」

と答えました。すると

「江戸は無愛想だから誤解されるでしょう?」

江戸も江戸、彼女は神田の生まれで、モデルとしてスカウトされて芸能人としての生活をスタートする。東映のイメージが強いがデビュー時は日活に所属していた。

「太陽が大好き」(1966)

ところがそのラストシーンが、社長を上回る影響力のあった名物専務の逆鱗に触れてしまったのです。

「日活のスター(浜田光夫)を殺すとは何事だ!すぐに撮りなおせ」

ということになってしまいました。

で、たまたまその専務にお会いする機会があった時に

「浜田さん、亡くなったほうがずっと余韻が残りましたね」

と言っちゃったんです。もちろん

「新人が誰に向かってモノを言ってるんだ!」

とものすごく叱られましたけど。

……この、社長以上の大物専務とは江守清樹郎のことだろう。「おれの身体を切ると日活の血が出てくる」とまで言い切った大物製作者。怖いもの知らずにもほどというものが(笑)。以下次号

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