東北ブロック事務研速報用の原稿をアップしておきます。藤沢周平の小説を特集したのってなんとこれだけだし。ホントに山形県人かオレは。
「たそがれ清兵衛」や「隠し剣 鬼の爪」などで、むしろ死後にメジャー感が増している藤沢周平。鶴岡出身の彼の小説は、山田洋次によって映画化されてきた海坂(うなさか)藩を舞台にした『武家もの』と、市井の生活を情感たっぷりに描いた『町人もの』の二つの系譜にわかれます。
今回おすすめするのは、後者の代表「橋ものがたり」。今は別れなければいけないけれど、この橋の上でまた会おうと誓う男と女……なんか、同じ山田洋次の「幸福の黄色いハンカチ」みたいですが、舞台を橋に設定したことでもわかるように、ベースになっているのはどう考えても「哀愁」(ウォータールーブリッジ)。ヴィヴィアン・リー主演のあれでしょう。生活に疲れ、ほんの少し汚れてしまった男女の再会は、だからこそ泣かせます。必読。
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