「喝采」はこちら。
前作が72年、今作は74年のお話。沢崎がブルーバード、竹花がスカイラインなら浜崎はベレットGTで東京を走り回る(いすゞはもう乗用車をつくってはくれないのかなあ)。
しかしどうも主人公の探偵よりも、脇役たちの方が魅力的。アダルトショップを経営する夫婦、気落ちする大金持ち、そして意地の悪い使用人たち……かつて「鋼鉄の騎士」で見せたような圧倒的なリーダビリティは望むべくもないが、滋味深いやりとりはなかなか読ませる。
クールな探偵がバヤリースオレンヂを飲むあたりのユーモアと、最後の最後に、誰がタフガイだったのかが露わになるのが、定番とはいえ、いい感じ。