「ゴーストハント」の作者のもとに、数多くの怪談話が集まってくるのは自然なことなのかもしれない。
それらを、剃刀の刃で慎重に切り分け、読者にレアで提供されたのが「鬼談百景」だとすれば、下味をつけて時間をかけて調理されたのが「残穢」だろうか。
予想とは違って不動産小説かと思うぐらいに“物件”の話がつづき、その因縁をさぐる経過がまたしても延々と。
これ、どこがホラーなのかな……と思った途端に本を放り投げたくなる仕掛けが施されていたことに気づき「うわあ」となる。勘弁してくださいよ。
と言いつつ、「深泥丘奇談」と同様に、綾辻=小野夫婦の日常がうかがわれてちょっとほほえましい。
![]() |
鬼談百景 (幽BOOKS) 価格:¥ 1,680(税込) 発売日:2012-07-20 |
![]() |
残穢 価格:¥ 1,680(税込) 発売日:2012-07-20 |