その50「機龍警察 自爆条項」はこちら。
映像志向が強いとはいっても、作家の金城一紀の、警察のなかでも地味な存在である警備部警護課をモデルにした企画にGOをだした人間がまず偉い。
この冒険はみごとに成功した。テロリストとの駆け引きと同時に、マルタイと呼ばれる警護対象者との因縁まで描けるので、ドラマ的に豊潤になっている。ま、どうしたって金城脚本が優秀だからこそ成立したんでしょうが。
役のために肉体を改造してムキムキになった岡田准一と、JAC出身の(あまりアクションシーンはないけれど)堤真一の「フライ・ダディ・フライ」コンビが、いかにも運動神経がよさそうでけっこう。
ちょうど5年前のドラマ。だからいま見ると自然だけれど、ヒロインに真木よう子を起用、ってのは当時としてはリスクのでかい話だった気がする。その美しさと同時に巨乳っぷりにみんなびっくり。もちろんわたしもびっくり。作り手の側もびっくりしたのか、わざわざ胸を強調するようなシーン(手錠緊縛)まで用意してあります。
演出スタイルはテレビドラマを逸脱していて、完全に映画寄り。特に、セリフを前面に出さないつくりはみごとだと思った。一人ひとりの俳優が一つひとつのセリフを交互に提供しあう(あるいは怒鳴りあう)“テレビドラマ”がいかに現実と遊離しているかをむしろ実感させてくれる。
ついでだから言っておくと、似たスタイルの山口智子復帰作の低視聴率があげつらわれている。ほんとに芸能マスコミってひどいな。そんなものを承知で(ドラマが現状のままでいいはずがないと)是枝裕和を起用した関西テレビの勇断をこそ称揚しなければならないのに。
ま、それはともかくSP。特に面白かったのは“陽気な殺人者たち”(名前がジョン、ポール、リンゴ、ジョージ)が活躍する後半。そしてそいつらがラストで……うん、うまい。映画版を見ようって気にさせてくれます。
ということで映画版につづく。