事務職員へのこの1冊

市町村立小中学校事務職員のたえまない日常~ちょっとは仕事しろ。

「ポイズン・ママ 母 小川真由美との40年戦争」 小川雅代著 文藝春秋

2012-11-23 | 芸能ネタ

4163748407 女優である小川真由美がいかにファナティックな人間であるかが延々とつづられる。常に宗教にはまり、若い男性を引き入れ、娘の人格を認めず、しかし女優のプライドだけは……。

彼女の性格の破綻ぶりは、日本アカデミー賞の授賞式で、プレゼンターなのに受賞者の大楠道代の名を読むことができなかったあたりで感じてはいた。あれ、忘れられないシーンでした。

ライバルである同世代の女優の名を(改姓したとはいえ)知らないはずがないから、一種の計算なのかなあと思っていたけれど、「他者を意識する必要を認めない」という意味で天然の行動だったのかもしれない、とこの告発の書を読んで気づいた。

それにしても読み続けるのが苦痛な本だった。確かに小川真由美は母親失格だろう。細川俊之も父親としての責任を放棄して小川真由美から逃げ出したのかもしれない。橋爪功とのセックスの音を娘がじっと聞いている図は哀れではある。

でも、だ。

四十才になってもまだこの娘は「壊れた母親の圧政下にある悲劇の王女様」なのだ。悪いのはみんな他人。わたしは悪くない悪くない悪くないという絶叫が全頁に展開されている。しんどいなあ。

彼女のような被害者がいまもいるかもしれないから、という理由でこの本が出版されたという理屈には確かに説得力がある。児童虐待をくりかえしたジョーン・クロフォードへの言及もちゃんとある。

でもね、お母さんが「積木くずし」の母親役をやったからいじめられた、「復讐するは我にあり」でベッドシーンがあったから(お風呂での、というのは彼女の誤解だろう。そっちは倍賞美津子だったから)いじめられた、などとくり返されるとうんざりしてくる。母親の側からの反論が聞きたいところだ。

サブタイトルからしても、この本がその「積木くずし~親と子の二百日戦争」の(経済的)成功にインスパイアされたものであることは確かだろう。しかし穂積隆信一家が、あの本のために、さらに深い不幸に追い込まれたのと同じ状況にならなければいいのだが……借金返せたらそれでいいのか?

ポイズン・ママ―母・小川真由美との40年戦争 ポイズン・ママ―母・小川真由美との40年戦争
価格:¥ 1,365(税込)
発売日:2012-03
コメント (6)
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